小蝿の晴天

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翌日の午後に、昨日、病室に訪れた港南警察署の片瀬刑事と加茂刑事が来ていた。 ベットから降りようとすると「そのままで、良いよ」と片瀬刑事に制止された。 二人はパイプ椅子を二脚持ち込んでベットの脇に置き、腰を下ろした。 「改めて、事情聴取をいいかな」 「あ、はい」と二人を見た。 片瀬刑事が質問を行うようで、加茂刑事がメモ帳とボールペンを持っていた。 「柴田良太さん、年齢は23歳と。仕事はバイクの加工会社〇〇の追浜工場勤務だね」 「はい」 「現住所は横浜市磯子区杉田、、、、で一人暮らしと」 淡々と質問が続く、二人の表情は感情の無い能面のようだ。 「はい、そうです」 「実家は群馬県沼田市沼田、、、、で、間違えないかな?」 「えーーはぁ、はい」 実家の住所を何年振りに聞いただろう。即座に反応できなかった。 「どうした?何処か変?、何か不思議かい?」 「いえ、警察ですから何でも知っているのでしょうと思って」 「ああ、お母さんがーー君のね。お母さんが署に来てね。色々と話をしていってくれたんだよ。調べる手間が省けたさ」 ーー え、ちょっと待って。 「そうそう、菓子折りを持って。犯人を一刻も早く捕まえてほしいと」 片瀬と加茂が笑みを浮かべて、語りかける。 「群馬の母ちゃんにしては、(たたず)まいとかオシャレだな」加茂刑事が笑い。「余計な事をすまない」と加茂刑事を睨み、片瀬刑事が頭を下げた。 ーーえ・・・あ、あの人は署に行った。 「え、ええ。まぁ」 「君の仕事場にも行くって言ってたさ」 「仕事場ですか?追浜に・・・」 「ああ、恥ずかしいかい。母親に行かれると何だか分かる。俺にもそんな時があったさ」加茂刑事が笑った。 「そ、そうですね」 ーー追浜にも行く・・・行くのか。 一つ一つ潰されていく、そんな感覚だった。
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