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同じ姿と同じ声で話すけど、料理が得意で褒め上手で、ギターは弾けなくて時間は守る。
きっと……要のご両親は、わざとそうしたんだ。
きっかけは要でも、いつかカナメとして愛せるようにと。要を愛したように、カナメも愛せるように。
ただ現実から逃げて作ったわけじゃない。悲しみに暮れながらも、しっかりと未来を見ていたんだ。
それなら、私もいつまでも要と比べているのは良くないんだろう。
みんなで「カナメ」として接していくのが、きっと誰にとってもいいことだから。
「今までごめんね、カナメ。急には無理かもしれないけど、私はあなたを、あなたとして見れるようになるね」
それはきっと、要の事を今よりずっと穏やかな気持ちで思い出せる日。
いつになるかはわからないけど、約束するよと伝えれば、カナメは、幸せそうに微笑んだ。
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