1.美少女に突然ファンだと告げられて

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 噂じゃ白ゆりは内気で、男が苦手……。  とにかく俺は美少女すぎる彼女を見ていられなくて、スッと目を逸らした。  突然の事で恐らく顔は赤くなっているだろう。  かっこ悪りぃ……。 「私、一年三組、白河 百合菜といいます。先輩の絵の大ファンです!」 「……はぁ」  え。大ファン?  その言葉が頭の中で何度もこだまする。  このかわい子ちゃんが俺の……大ファンなの?  内心で小躍りする俺をよそに、彼女は話を続けた。 「あの……。絵、辞めたりしないですよね?」 「……え」 「あの絵から和奏先輩描いてないって聞いて。辞めないですよね??」 「……あ。うん」  調子良く、作り笑いで俺は嘘をついた。  本当はもう八割以上、描かないつもりだった。描かないというより、描けないんだ。  俺の嘘になど微塵も気付かず、白ゆりはふわっと純朴に笑い、「良かったぁ」と嬉しそうに言った。  笑顔……。希少価値だ。  きっと男で彼女の笑みを見たのは俺だけに違いない。  美少女自らが話し掛けてくれた事で、俺は自惚れていた。 「次、何描くんですか?」  彼女はそれまで手にしていたプリントを俺に手渡し、愛らしく小首を傾げた。
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