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「おーい、弐号もこっち来いよ」
今度こそ間違いなく僕を呼ぶ声が聞こえ、僕は席を立った。
「弐号ってなんだよ、それ」
僕をそう呼ぶのはこのクラスのガキ大将である本郷大輔という少年だけど、にしても人を号数で呼ぶとか失礼にもほどがあるとか思わないんだろうか。
「だってお前、転校生弐号だろ。だから略して弐号」
思わないんだろうな、これが。
本当にこれで悪気がないというのだから始末が悪い。そして逆に何故かこの呼び方が格好いいと言う奴らが多いことに辟易する。
「で、なに?」
「今日、転校生ん家に行って宿題の課題やろうぜって話が出ててさ、弐号も行くか?」
「……いいよ」
「おし、弐号機も参上っと」
いつの間にか機まで付いてる。戦闘機にでも乗って登場しろとでも言うつもりだろうか。
僕には美作晋っていう立派な名前があるっていうのに。
まあ、いいけどね。僕はほんのわずかだけ苦笑した。
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