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藤華
某県某所にある、有名な公園が存在していた。毎年、春には観光客で賑わいを見せていた。しかし、今年はコロナウイルスとか言う、変な病気が流行してかその公園には、人が一人も寄せ付けては来なかった。
その公園の名前はーーー【藤の花公園】という。
そんなある日のこと、藤の花公園に咲いている無数の藤たちが、ざわざわとしていた。
「ねえ、今日はなんで人が来ないのかな?」
一輪の藤が隣に咲いている藤にそう聞いた。
「分からない」
隣に咲いている藤がそう答えた。
「そっか……」
一輪の藤が少しションボリしたように、風に揺れる。すると、一輪の藤から少し離れた藤が、
「なんか! 今、ニンゲンの世界にヘンテコなカゼが流行っているみたいだよー!」一輪の藤たちの会話が聞こえたのか、他の藤たちにも聞こえるような声で言った。
どことなく、得意げな様子の藤だ。
「ヘンテコなカゼってなぁに?」
一輪の藤の隣に咲いている藤が、離れた藤に聞く。
離れた藤がますます得意げな様子で、語り出した。
「あのね、なんかね、今ニンゲンの世界はね、カゼが流行っているんだって! だけどねそのカゼはただのカゼじゃないみたい」
他の藤たちも興味が惹かれたのか、離れた藤の話を聞いていた。
「じゃあどんなカゼなんだ?」
他の藤が離れた藤に聞く。
「それはね、“人をダメにするカゼ”みたいだよ」
「ヒトをダメにするカゼ?!」
離れた藤以外の藤たちが、さらにざわめき出す。
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