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2. アプローチ
大学生になった今は、花よりも、英語の講義を担当しているイギリス人の先生に夢中だ。頭が良くて、ハンサムなのだ。英語の講義は人気で、大講義室で百人くらい聴講している。先生から見て、その大勢の中の一人になってしまうのは寂しいから、花子はある日、講義の終わりにアプローチしてみた。
先生に赤いチューリップを一本差し出して、花子は言った。
「This is a present for you(これ、プレゼントです)」
「Oh, Thank you. What's your name?(おー、ありがとう。君の名前は何だったかな?)」
「My name is Hanako Toba. My full name means the language of flowers in Japanese(私は鳥羽花子です。英語だと逆に読むから、はなこ・とば。つまり、花言葉なんです)」
「Oh, really? What's the language of this red tulip?(おっ、そうなんだ? 君のくれたこの赤いチューリップの花言葉は何だい?)」
「Please check it in your house(お家に帰ったら、調べてみて下さい)」
「Ok, I see(オーケー、分かったよ)」
これでよい。私に興味があったら、後日話しかけてくれるだろう。興味がなかったら、何も話しかけてくれないだろうが、面と向かって振られることもない。
次の講義が楽しみだ。
(完)
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