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「虐めが起きない事こそが人生において一番の幸せである。」
小学生の頃から私はこの考えを持っていた。
そして、
中学生の頃には、虐めが終わる方法を思いついていた。
無表情、無反応でいる事。
中学生の時、私はクラスの女の子全員から虐めを受けていた。
ある女の子Aが好きだったという男の子Bに私は告白された。私はそれを断った。ただ、それだけである。
何故人は人を虐めるのだろうか、
Aは私がBに告白されたのが、気に入らなかったんだろうか?
私がBを振ったことが、気に入らなかったんだろうか?
いや違う。
周りの子は?
何故周りの子も一緒になって私を虐める?
Aと私には何の関係もないのに。
それは、虐められた人の嫌がる表情が見たいから。
それは、虐められた人の泣き叫ぶ反応が見たいから。
Aだってきっかけはなんであれ、私の表情、反応が見たかったのだ。
なら、無表情でいればいい。
なら、無反応でいればいい。
そうすれば、虐める側の人は
「この子は虐めても、面白くない。」
そう思い始める。
中にはもっと過激な虐めをしてくる人も居るかもしれない。
ならもっと無表情、無反応を貫けばいい。
無表情、無反応を続けていけば、周りの子の虐めは直ぐに治まった。
Aもその内何事もなかったように話しかけてきた。
虐めは終わる。
これ以上クラスの女の子に虐められずに済む。
自分の考えで虐めをひとつ無くすことが出来た。
虐めをしていた人の虐めを辞めさせることが出来た。
その喜びに打ち震えている。
私はこの時、「あぁ、今私、幸せだなぁ」と感じることが出来た。
だから私は今この状況でも無表情、無反応でいる。
「なぁ何時になったら嫌がる顔を、泣き叫ぶ反応を見せてくれるの?」
薄暗く狭い部屋で、縄で縛られ、全裸にされた私に、刃物を持ったBは言う。
私はとても嫌だった。今すぐに泣き叫びたかった。
それでも私は無表情、無反応を続ける。
こうすることでこの状況も終わる。
そうする事で、Bの虐めも終わらせる事が出来ると知っている。
「もういいや、全然面白くない」
Bが言った。
やはり、人は虐める人の表情、反応がみたいだけなんだ。
「もう終わりにしてあげる」
Bはそう言うと手に持っていた刃物を私の体に突き刺した。
刃物が私の心臓を貫いてるのが分かる。
感覚が薄れきて、視界もどんどん暗くなる。
私はしんでしまうのだろうか?
でもこれで、Bの虐めも終わる。
でもこれで、これ以上誰にも虐められずに済む。
自分の考えで虐めをもうひとつ無くすことが出来た。
虐めをしていた人の虐めを辞めさせることが出来た。
今私はその喜びに打ち震えている。
「あぁ、いまわたし、シアワセダナァ」
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