告白

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本当に時間が止まったのではないかと疑いかけた時、息をするのを忘れていたのか、俊太がよろけながら息を吐き出したので、時間の流れは止まっていなかったことが証明された。 「…は? え? 何て?」 俊太は何か混乱でもしているのか、短い言葉をいくつも発した。その横で菊池くんは全く別の反応を見せていた。クスクスと肩を揺らして笑っていたのだ。もちろん、彼は隠そうとしていたのかもしれないが隠しきれていなかった。 「だから……」と私がもう一度口を開きかけると、しゃがんでいた菊池くんが立ち上がった。 「んじゃ、俺はもう帰るわ。明日早いし、お前も早めに帰れよ」 菊池くんは俊太に言うと、「じゃあね、紗々羅ちゃん」と微笑み、最後に俊太の肩を叩いてその場を後にした。 そして、菊池んが行くのと入れ違いに、今度は戸前さんが戻ってきた。 私は慌てた。 俊太が本当の意味でショックを受けるのではないかと思ったからだ。 なぜなら戻ってきた彼女の顔が……
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