想いをカタチに

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「え……」 その後俊太が何かを呟いたようだが私の耳には届かなかった。 それもそのはず、菊池くんが私たちを呼ぶ声でかき消されたからだ。 「川島! 紗々羅ちゃん!」 彼が大きな声で私たちを呼びながら近づいてくる。 「こんなところにいたのかよ? 紗々羅ちゃん、荷物は? 俺も手伝うよ」 「…ううん、もう大丈夫だから」 私が返事をする頃には俊太はソックスを履き終わり、シューズの紐を絞め直している最中だった。 すると、菊池くんに続いて今度は向こうから戸前さんが菊池くんを呼んでいる。 「菊池くん! ちょっと手伝ってくれる?」 「了解っす!」 菊池くんは振り返って再び大きく返事をすると私たちにも早く来るように声をかけて呼ばれた方へ走って行った。 「私たちも行かなくちゃ」 戸前さんが私でなくて菊池くんを呼んだのは…私を気遣ってくれたからに他ならない。 そう言って俊太を振り返った時には、俊太がすぐそばまで来ていた。 「話は終わってねえからな」 至近距離から見下ろされ、同時に釘を刺された。
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