想いをカタチに

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刻々と近づく試合開始時間に比例して、部員たちの緊張も高まっていく。 私たちのチームが準備をしている間にもグラウンドでは別のチームの試合が続行している。 どのチームも負ければ三年生は引退になる。 緊張を(はら)んだ掛け声と声援がグラウンドに飛び交っていた。 その試合の残り時間も少なくなった頃、ゴールキーパーである三年生の先輩に声を掛けられた。 「紗々羅ちゃん、手の指ってテーピングできる?」 聞くと直前の練習で右手の小指を突き指してしまったようだ。 「普段は自分でやるんだけどさ、右手で小指ってちょっと難しくてさ。足のテーピング得意そうだったけど、手はやっぱ無理だよね? てかその前に大事な試合の直前に何やってんだって話だけど」 自嘲しながら「やっぱいいや、大したことないし、ごめんね」と背中を向けそうになる先輩を慌てて呼び止める。 「大丈夫です! できます!」
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