想いをカタチに

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大きな声を出したものだから、気付けばみんなの注目を集めていた。 顔が熱くなるのを止めることはできずに恥ずかしかったが今はそんなことを言っている場合ではない。 テーピングを手にして先輩の手を取った。 ゴールキーパーに相応しい大きな手だ。私は指先にテープを乗せ慎重に巻き始めた。 「へえ…紗々羅ちゃん、本当に手もいけるんだ?」 先輩が感心しながら言った。 「…ゴールキーパーだっていますから…少しは勉強しました。家では父に練習台になってもらって、何度かやりました」 「真面目か! すごいな」 三年生の先輩はみんな長身だが、キーパーの先輩はその中でも一際体格がいい。ずいぶん上の方から笑いの混じったツッコミが飛んできた。 真面目…… 今まではそう言われる度に本当はすごく嫌だった。 私にはそれしか取り柄がないので、それを指摘されているような気がしてしまうからだ。 だけど今は…… 「…いい感じだよ」 テーピングの仕上がった手の感覚を確かめながら先輩が言った。 「俺たちのためにありがとうね。一生懸命勉強してくれたことも、マネージャーになってくれたことも」 …『真面目』は私の“褒め言葉”だ。 「頑張ってください。応援してます」 私は彼に微笑むと、振り返ってある人物を目で探した。
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