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試合は……
2対3の……逆転勝利となった。
お互い勢いよく一点ずつゴールを決めた後、そのままこう着状態が続き前半戦は終わった。後半戦に入ってすぐにこちらがゴールを決め、そのまま後半半ばまできたところで相手チームに同点ゴールを許してしまった。
緊張が張り詰めたまま後半戦残り五分のところでチャンスは訪れた。
ハーフタイム中に「チャンスがあれば上がって来い」と小松原先輩に言われていた俊太がゴール付近でゴールを奪ってそのまま相手ゴールにボールを運び始めた。小松原先輩は逆サイドで並走し、最後は二人でゴール前に切り込み俊太からのパスを先輩がダイレクトにゴールに打ち込み逆転ゴールを決めた。
試合が終わった後も、俊太と小松原先輩がシュートを決めた後、ゴール前で称え合う二人の姿が目に焼き付いて離れなかった。
胸がいっぱいになって、
涙目で最高の笑顔を見せる戸前さんの影で私は涙を拭った。
興味もなくて、なりたいわけでもなくて、
嫌々ながらに始めたこの部活で……
こんな感動を味わえるとは思っていなかった。
「…ありがとね」
試合が終わり解散の後、家路途中で私は俊太と一緒に公園に立ち寄った。
家の近くの公園で昔よく遊んだ場所だ。当時からの遊具は三年ほど前に一度整備されている。
どちらからというわけでもなく自然にブランコに足を向け、腰を下ろしたところで私は俊太に言った。
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