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崩れていく家族
これは永遠に忘れる事のない
僕と彼女の物語。
あの夏の記憶
「優希早くしなさい!」
母の不機嫌な声に腹の底から嫌悪感が芽生えた。
「ぐずぐずしてるとおいてくから!」
頭ごなしにヒステリックなカナキリ声で怒鳴られる。――――毎度のことながら吐き気と頭痛に眩暈がした。
「ごめん·····母さん、直ぐ行くから」
僕は怒りを抑えながらできるだけ優しく言葉を紡ぐ。そうしないと面倒なことになりかねないからだ。
今日、僕と母さんは住み慣れた家を放れる。そして母の古里へ移り住むのだ。
事の発端は数ヶ月前に遡る。
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