10人が本棚に入れています
本棚に追加
「何、庭改造?」
物音で起きてきたのか遥香さんが、眠そうな目で台所に入ってきた。
私がいることに気付いて、
「あっ、ごめん」
とちょっと後ずさった。
素敵すぎて羨ましい長い脚が、ふわふわとしたショートパンツから覗いている。
何か取りに来たのだと思い、火を止めて、「どうぞ」と言おうとしたら、
「あ、あれ。志摩ちゃんのためかぁ」
と言った。
遥香さんの目が三日月みたいに、くにゅんと曲がる。
「いいねー。どう? お姫様扱いの気分は?」
「え」
「一枚もらうねー」
遥香さんは、パンケーキを一枚つまんで、呆けた私をほったらかしにしたまま台所を出ていった。
(続く)
最初のコメントを投稿しよう!