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駅に着くと、既に彼女はホームで待っていた。
ミーンミーン、と蝉がうるさくないている中で、何故か彼女の周りだけ清涼感が漂う。
「ごめん、待たせた?」
「ううん、私も今来たところ。ごめんね、急に連絡しちゃって」
「いや、構わないよ。せっかくの土日でも家でごろごろしているだけだし」
「そっか、よかった」
軽く話をしていると、すぐに電車が来た。
電車扉が開くと、中から冷たい風がふわりと吹き込む。
そういえば、どこに出かけるのか聞いていなかったな。
空いている席に座ると、彼女に尋ねた。
「ねぇ、今日はどこまで行くんだい?」
「秘密」
そう言って彼女は人差し指を口元にあてる。
着いてからのお楽しみ、か。
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