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1時間近く電車に揺られながら、車窓から見える景色を眺める。
こうして季節も、景色も、全て移り変わっていくのに、僕達の関係だけは何も変わらない。
変わらないからこそ楽しくて、美しい時間なのかもしれないけれど、変化が欲しい。
でもそのための勇気は僕には無くて、きっと彼女にも無いのだろう。
そんなことを考えながらぼんやりしていると、ふいに彼女が僕の手を引いた。
「降りるわよ」
「お、おう」
降りたのは相田駅という、無人駅だった。
幸いにもICカードが使えたようで少し安心する。
「こんな何もなさそうなところになんの用があるんだい?」
「……、知らないの? ここの向日葵畑は有名なのよ」
そう言うと彼女は歩みを速めていった。
へぇ、こんな所に向日葵畑がね……。季節の花を愛でようだなんて、彼女も可愛らしい人だな。
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