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ライラは自分の発言した通り、ただサフィールが可愛そうで、そしてなによりただ彼と側にいたいから彼と一緒に着いていくのだ
しかしライラがそこで考えた現実的な問題といえば、住む家のことや引っ越しの費用のことくらいだった
彼に責任を取ってもらう、なんてそんな恩着せがましいことは思いつきもしなかった
世の女性はそうして結婚を取り付けるのか、と自分がいかに恋愛ごとや大人の事情を知らないのかを痛感させられた
どんくさいライラはわかってはいなかったけれど、それはあくまで考え方の一つであって責任を取らせるために結婚を取り付けるというのは片方の偏った都合のいい考えであろう
「まあ、貴方がそれでいいならいいんじゃないの? でもちょっとずつ結婚を匂わせておくことね。
例えば将来の事を話してみたりだとか、さりげなく指輪がほしいなぁとか言って雑誌を眺めたりだとか」
「む、難しい……」
「それくらいしないと。あんなにいい物件はそうそういないわよ。
私が心配しているのは何故かわかる?」
「わかんない」
「あの人奥手ではないと思うの。
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