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セオドアの態度はいつもと変わりない。もし、ソフィアの疑い通り、オリバーと何かあるのなら、少しは罪悪感に満ちた顔をするだろうか。
「何もございません。寧ろ、殿下が昨夜なさっていたことをお聞きしたいです」
妻の様子がいつもと違う事に気がついたのか、セオドアは手にしてたグラスをおいて、まっすぐにソフィアを見つめた。
「…それは言えない、ソフィー」
ソフィーの決意をセオドアは汲んではくれなかった。
これまでソフィアの心のバランスを保っていた何かが、プチンと弾け飛んだ。
「何故ですか? 後ろめたいことをしてきたからですか? オリバー様が」
なりふり構わず、ソフィアはセオドアを質問攻めにする。
みっともない自分を顧みてる余裕などなかった。
「オリバー? オリバーがなんだ」
「私を蔑ろにして、除け者にして、お二人で私を嘲笑っていらっしゃるんですか?」
「ソフィー!」
いつになく強い調子で名を呼ばれ、両の二の腕を掴まれる。正面にあったセオドアのグレイの瞳が、哀しそうにソフィアを見つめていた。
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