飾り物の妻ですが夫を愛しています

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飾り物の妻ですが夫を愛しています

ソフィアとユリアが湖についたのは、ちょうどお昼の時分だった。 春の柔らかな陽射しが、湖面をキラキラと輝かせ、湖岸の草木を芽吹かせる。のどかで優雅な春の昼下がり――の筈なのだ。 だが、ふと見ると、セオドアがつけた約10名ほどの宮廷警護の者たちが、まるでこれから戦闘態勢にでも入るか如くに、鋭い目を光らせている。ソフィアとユリアは湖岸にシートを敷き、そこで食事をとるつもりなのだが、そのシートの四囲。そして更に5メートル程離れて、また四囲に彼らが配置されてる――そう、ただ突っ立っているのではなく、配置されているのだ。 これでは食事もしにくいではないか。 「ねえ、警護隊長」 甘えたような声で、厳めしい顔つきの男に、ソフィアは話しかけてみた。 彼の名前はクラウド・フォード。年は30を超えたあたりだろうか、真面目で謹厳実直。国王や王太子の言うことには、絶対に逆らわない。忠義心が服を着て歩いているような男だ。 「は、なんでありますか。ソフィア様」 「もうお昼の時間だし、クラウドたちもお腹が空いてるのではなくて? あちらの木陰で、みんなも休んできたらどう?」 けれどクラウドは目をむいて反論した。
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