飾り物の妻ですが夫を愛しています

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「何を仰せですか! 一瞬たりとも、ソフィア様から目を離すなと、王太子殿下からのキツイお達しがあります。食事などとんでもない! どうぞ私どものことは構わず、楽しくご歓談を」 「……」 鳥が歌い、草木が春の風に心地よさげに揺れている。こんな平和を絵に描いたような光景の何をセオドアは恐れているというのか。けれど、ソフィアの命令よりもセオドアの命令が優先なのは嫌というほど理解した。 ユリアも諦めたのか、くすくす笑いながら、「ソフィア様、もうよろしいじゃないですか」と彼女の袖を引いた。 「森の木々だと思えば」 「…ごめんなさいね、ユリア」 城中では話しにくいことを、ここでなら打ち明けられると思ったから来たのに。ソフィアは思惑が外れてしまって、がっかりしながら、小さな木の椅子に腰かけた。 「余程、王太子殿下はあなたが可愛くて心配でしょうがないのね」 「…そうかしら」 「そうよ」 ユリアに重ねて言われても、ソフィアには納得がいかない。だったらどうして抱いてくれないのか…。この1年、ソフィアの疑問は解決されないままだ。 「私は飾り物の妻なんです」
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