飾り物の妻ですが夫を愛しています

3/4
前へ
/56ページ
次へ
そう言って寂し気にソフィアは笑った。同じ女性として、ユリアも彼女の笑顔と言葉が意図することを察したらしい。 「そんな…」 そう言ったまま、絶句してしまった。 図らずして、ユリアに打ち明けようとしてたことを話してしまった。アルノルドに来てから、誰にも言えずにいたことを。 恐らくソフィアやセオドアに近い女官たちは、気づいているだろうが、無論ソフィアには何も言わない。ひそやかに同情されたり、噂の種にされているのかと思うと、ソフィアはやりきれない気持ちになる。 「政略結婚ですから、愛されなくても仕方がないとは思っています。けれどせめて…普通のお妃と同じようには扱ってほしい」 女性の方から誘うなんてことは考えられない時代である。同じベッドで休みながら、すぐに背中を向けられるたびに、ソフィアは切なさに涙を堪えきれなくなる。 どうして抱いてくれないのだろう。子どもだから? 数年前まで争っていた国の王女だから? 他に好きな女性がいるから? 誰にも聞けない問いを、いくつも浮かべながら夜をやり過ごす。 「…お辛いですね」
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1148人が本棚に入れています
本棚に追加