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そう言って寂し気にソフィアは笑った。同じ女性として、ユリアも彼女の笑顔と言葉が意図することを察したらしい。
「そんな…」
そう言ったまま、絶句してしまった。
図らずして、ユリアに打ち明けようとしてたことを話してしまった。アルノルドに来てから、誰にも言えずにいたことを。
恐らくソフィアやセオドアに近い女官たちは、気づいているだろうが、無論ソフィアには何も言わない。ひそやかに同情されたり、噂の種にされているのかと思うと、ソフィアはやりきれない気持ちになる。
「政略結婚ですから、愛されなくても仕方がないとは思っています。けれどせめて…普通のお妃と同じようには扱ってほしい」
女性の方から誘うなんてことは考えられない時代である。同じベッドで休みながら、すぐに背中を向けられるたびに、ソフィアは切なさに涙を堪えきれなくなる。
どうして抱いてくれないのだろう。子どもだから? 数年前まで争っていた国の王女だから? 他に好きな女性がいるから?
誰にも聞けない問いを、いくつも浮かべながら夜をやり過ごす。
「…お辛いですね」
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