1174人が本棚に入れています
本棚に追加
電気を消して、真っ暗になった。窓から星をぼんやり眺める。山の上にあるだけあって、街灯や建物の灯りがない空は星が綺麗に見える。都会の薄く濁ったようなのとは全く違う輝きを追った。
「転校生かー……」
普通、その言葉を聞けば多少なりとも期待を抱くのだろうか。自分の時のことを思いだそうとするが、記憶は古くてどうしようもない。騒がれたような、静まり返ったような。
注目を浴びたのは間違いない。おれが心配しているのは、転校生がどう動くか。
理事長が直前まで隠したのはきっと───
そこまで考えて邪推が過ぎたと頭を振るう。乾いた失笑が漏れる。
伊織ちゃんがわざわざ理事長に反してまで話したのだって、そうして整理したかったから。深読みしたって悪い方向にいくばかりだ。
アラームをセットして、夢の世界に入った。
最初のコメントを投稿しよう!