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休憩時間は随分ふざけていたので、仕事をしている今はきちんと取り組んでいる。
これでも悪戯等々仕掛けてくる庶務の2人がいないので穏やかなほうだ。今日は所用とやらがあって、朝からいない。
提出する書類の最終チェックと、必要なデータの収集を同時並行で進めていく。
途中、詳細が曖昧な箇所を見つけたので確認を取っておこうと腰を浮かしかけた。だが袖をちょいちょいとひかれる感覚に座り直す。
横に顔を向けると弓弦くんが軽く眉を寄せていた。
「どうしたの、弓弦くん?」
「これ。どう、思う」
手渡された書類に目を通す。
パッと見では風紀委員会の内容だ。風紀とは治安維持等を担当している学園の二大巨頭のひとつで、生徒会と仲がよくない。というか、かいちょと風紀委員長が敵対関係にある。
「うーん、風紀の管轄……かなぁ」
だが生徒会にも書類が回ってきた。
ただのミスかもしれないし、相談しろってことかもしれない。どっちにしろ面倒な。
風紀には血も涙もない彼がいるし。
「弓弦くん、それ預かってもいーい? おれが明日持っていっちゃうから」
「ほ、んと?」
「うん、任せて~」
弓弦くんが目に見えて明るくなったのを尻目に預かったそれをファイルごと鞄に入れておく。出来れば早く済ませておきたい。
「ありがと、ね」
「いえいえー。あ、おれも教えて欲しいところがあるんだけど大丈夫?」
「うん、勿論」
「ここの部分なんだけど」
「───去年やったやつ。覚えてる、からやっておく」
「ありがとー!」
「お互い、さま」
そう言って弓弦くんは作業に戻った。
おれも新しいデータを探すべく、パソコンに向き合う。
手のひらに置かれた淡い水色の飴ををポケットの中にしまう。ふと外を見れば空が薄く橙色に染まり始めていた──
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