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5.26
ひなたは今日はまた仕事が休みである。
いつもなら休みの日は7時に起きるが今日は彼女を見送ったあと9時まで布団でゴロゴロ。
同棲生活にも少しずつ慣れては来たものの、一週間のバタバタで疲れがどっと来てしまった。
ごろごろしながらスマホを触っていると、やたらとLINEの通知が多い事に気がついた。
LINEを開くと未読350件。一つのグループの通知がが9割以上を占めていた。
「レコーディングやるぞ」
グループを開くとまず、そんな文字が目に入った。
これはひなたが所属しているバンドのグループラインだ。しかし今はほかのメンバーが就活中で活動休止中。最近はなんの音沙汰もなかったため、急な展開にひなたは混乱する。
「とりあえず新曲作ったし」
とりあえずの意味もよく分からないが、ひなたもとりあえず聞いておく。うん。悪くは無い。
ひなたはまたトーク画面に戻り、下へとスクロールする。
「だいたい1人5万くらいかな」
ーーげっ。
レコーディングでそれくらいかかる事は知っていたもののひなたは思わず声を出した。
「おけ、今お金あんま無いからちょっと時間欲しい」
同棲の初期費用で貯金の半分を使ってしまったので、5万の出費は痛手である。
「了解。もしあれやったら貸すし」
そんなにサラッと貸せる金額ではないぞ。と思いながらも信用されているんや。という勝手な解釈でひなたはありがとうと礼を述べる。
「ひさびさやあ」
ひなたは6畳の明るく狭い部屋で伸びをしながらぽつりと呟いた。5つくらいバンドを掛け持ちしていた時期もあったが、今は2つだけである。そして両方ともコロナの影響で活動出来ていなかったので、久々にバンドが出来ることに素直に喜ぶ。
このバンドでは喧嘩や、オーディションで優勝など、色んなことを経験した思い出深いバンドだ。ひなたは再び新曲の音源を流し、ドラムのパートを考える。懐かしい感情のまま、気がつくとお昼を迎えていた。
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