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⒍3
もう気がつけば6月。コロナの影響で週一しか無かった出勤日も、今ではすっかり元通りだ。ひなたは週五で働く当たり前の日常に絶望を覚えながらも、毎日働いていた。
そして今日は休みである。いつもより疲れが溜まっていたので、ひなたは彼女を見送り、九時頃までゴロゴロしていた。
スマホのアラームと、眩しい日差しで再び目を覚まし、朝ごはんを食べ、部屋の掃除をする。
ひなたは掃除が苦手だったが、最近は少しずつ好きになってきた。
今日はお風呂の鏡の汚れ落としだ。
クエン酸の水溶液ををスプレーを鏡にふりかけ、ラップを鏡に密着させると良いと聞いたので実践してみる。
三十分ほど放置してから、ラップを外し、水をかけると綺麗に汚れが落ちていた。
「うぉー!」
ひなたの声が風呂に響き、ここがアパートだという事を思い出し口を塞ぐ。
しかし汚れが落ちると気持ちいい。ひなたは他にも汚れているところをゴシゴシと磨いた。
その後、掃除を軽く済ませたひなたは、お昼ご飯を食べ、読書を終え、買い物に出かける。今日はムシムシとする暑さで少しうんざりだ。
ひなた達は、週に二回買い物に出かけ、食材を買いに行く。
水曜日はひなたが買いに行く係だ。前日に買うものを決めたものを書いたメモを見ながら、他の食材からの誘惑にもなんとか打ち勝ち、買い物を済ませた。
家に帰ってきて、晩御飯の支度にはいる。
ひなたは料理は得意である。彼女に「男のクセに料理上手いの腹立つ」と理不尽なことを言われるくらいには得意だ。
大根と玉ねぎを刻み、フライパンに豚肉を投入。そして刻んだ野菜を入れ、酒、みりん、醤油と一緒に炒め、完成。その他にも、ブロッコリーのあんかけ、コンソメスープを作り終えた。
隣の部屋のシャッターが閉まる音が聞こえる。「もうそんな時間か 」と呟き、ひなたは彼女の帰りを待った。
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