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6.12
ひなたは、午前の仕事をおえ、食堂でご飯を食べていた。ふと、テレビを見ると昼のワイドショーが放送されていた。内容は、男性芸能人の不倫報道である。SNSや、ネットニュースで話題になっていたので、ひなたもだいたいの内容を知っていた。
「多目的トイレで……」
「行為が終わったら一万円」
「一人の女性として見て欲しかった」
これは恐らく、不倫相手の女性の話だろう。
ひなたはこの話に違和感を感じた。出来上がったパズルのピースが一つ、別のパズルのピースが混じっているような、そんな感じの違和感だ。ひなたは間違い探しを始めた。
なんで女性が被害者面しているのだろう。
ひなたはひとつの答えにたどり着いた。
この女性も、一緒に不倫をしていたわけである。それをおもしろがって暴露していることは、自分もそれくらい愚かな人間だと言っているようなものである。
一人の女性として見て欲しいのであれば、多目的トイレでそんなことはしないはずだ、お金だって貰わないだろう。
きっと、自分も不倫をしていた事で、世間から叩かれる事を恐れ、被害者面をしているのだろう。
自分勝手な女だ。
ひなたは思う。この事で、被害者面して良いのは芸能人の奥さんとその子どもだけだ。
それを加害者側である、不倫相手が被害者面しているのはおかしな事だ。そしてそれをあたりまえのように、おもしろいニュースだと被害者の気持ちを考えず、放送しているメディアもまた、加害者側になるのではないか、とひなたは考えた。
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