《猫》

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《猫》

なぜ、俺の脳裏に「スザンヌ」が現れたのか? 可愛らしいベビーフェイス顔の「スザンヌ」が悶絶し… 顔色はドス黒く変色し… 鬱血していると… それは「絞殺」であり俺は不思議にそれが理解出来ていた。 俺は不安にかられた… 『俺がどうしてこんな事知っているのか?』 『でも俺は「スザンヌ」のマンションなんか?』 『俺は知らない?』 俺は自分を安心させるために独り言を呟いた。 するとなぜか微かではあるが「猫」の泣き声が聞こえきた。 この頃、頻繁に「猫」の泣き声が聞こえてくる様になった。 はじめはあまり意識していなかったが… その泣き声が余りにも切なく、悲しい… しかし、ある意味悶えてるような? 『確かこのアパートで動物を飼う事は禁止されているはずだが…?』 猫の泣き声は昼夜を問わず聞こえてきた。 すると俺の首筋が疼き始め… 『なんだこの疼きは…』 思わず首筋に手をあてた。 『アッチ…』 俺は大きな声を上げた。 首筋はかなりの熱を帯び「猫」の泣き声と共に脈打つように疼き出した。 俺の額から汗が… 『ヤバイなぁ…』 鏡に首筋を映した。 『何だこれは…』 そこは「ノミ」に刺された場所だった。 刺された場所は「六文銭」のようは跡が… 大きさは直径2センチぐらいあり中心が四角でその中に「ノミ」のような生き物が存在していた。 例えれば、銭形平次が悪い奴に投げつける「お金」の跡だった。 俺は動揺していた… 『どうしてこんな跡が…?』 「猫」の泣き声はまだ続いていた。 額から汗が止めどなく流れている。 その「猫」の泣き声は真下から聞こえるような? 俺は痛みをこらえ「覗き穴」から真下を覗きこんだ… するとそこには衣服を身に付けていない女… 「クリハラサキ」が妖艶に隠微な行為を行なっていた… その行為は自慰であり自分を慰めるように… 労わるように… 表情は白眼を剥き出し陶酔しいた。 俺はその姿を観たその瞬間… 首筋筋の熱が下がっていく… そして自慰終わり項垂れている「クリハラサキ」を確認した時… 俺はパンツ内で射精していた。 そして、「クリハラサキ」が俺が覗く穴を凝視すると… 目が合った錯覚に襲われ俺は目を背けた。 すると、俺は右脚に痛みを感じ… 手で痛みのある右脚に触れるとやはり5センチほどの「ノミ」が手のひらで蠢いていた。 そしていつのまにか… 「猫」の泣き声も聞こえなくなっていた。
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