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そんなみよちゃんは、ある日お庭にキラキラするひらべったい円いものが落ちていることに気がつきました。ボールくらいの大きさで、すぐ傍には小人くらいのサイズの人が倒れています。
その人は、青くてぴかぴかした服を着ていて、角みたいなものが二本生えていました。背中には、丸くてかわいい羽根が六枚生えています。みよちゃんはピンときました。小学校の教科書で読んだことがあったのです。きっとこの人は、宇宙人に違いない、と思いました。
宇宙人さんは、とても弱っているようでした。みよちゃんは助けてあげたくて、宇宙人さんを部屋まで連れていきます。泥だらけの体を洗って、水をあげました。でも、その日はお父さんもお母さんもおうちにいませんでした。みよちゃんは、どうすれば宇宙人さんを助けてあげられるのかがわかりません。
すると、宇宙人さんは、苦しそうに言いました。
『わたしたちは、きれいなお花を栄養にしているのです。みよちゃん、私にお花を分けてはくれませんか』
みよちゃんは急いでお庭に行きました。お庭には、お母さんが育てているお花がたくさんあります。引っこ抜いてしまうのは可哀想だと思いましたが、このままでは宇宙人さんが死んでしまいます。
ごめんなさい、と思いながらみよちゃんはお花を一つ引き抜きました。
一番綺麗で、素敵な花言葉を持つお花です。
宇宙人さんが“花言葉”を知っているかわかりませんでしたが、みよちゃんは“素敵な花言葉を持つお花が喜んでもらえるはずだ”と信じていました。お母さんがその意味を知っていて、とっても喜んでくれたからです。
みよちゃんはフクジュソウという黄色くて可愛いお花を持っていって、宇宙人さんにあげました。
『このお花、今一番綺麗で、お庭に咲いてたの。花言葉っていう素敵な意味があるのよ。“幸せを招く”っていうんだって。きっと、宇宙人さんにも幸せをくれると思うの!』
『素敵な言葉ですね。ありがとう、みよちゃん』
みよちゃんに貰ったお花を、宇宙人さんはむしゃむしゃと美味しそうに食べて、眠ってしまいました。きっととても疲れていたのでしょう。
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