お飾り王妃だった私は、本音を告げる

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 私の目の前まで剣が迫る。もう少しで、斬られてしまう。それでも逃げたくなかった。だから私はまっすぐにイーノク様を睨み続けていた。そして、剣が私の腕に当たるかというとき……剣が、弾き飛ばされた。 「不法侵入に殺人未遂。これってさ……全部正当防衛で済むよなぁ。生きて帰れると思うなよ」  そんな声。そして、ゆっくりと私を抱き寄せる腕。それは、間違いない。ううん間違えるわけがない。 「――ブラッド様」  私の髪に触れながらただまっすぐに、イーノク様とシンディ様を睨みつけられる人。そのお方は間違いなく、ブラッド様だった。
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