お飾り王妃ですが、何故かいい扱いを受け始めました

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** 「はい、ルーベンス公爵家に到着」  そうおっしゃったブラッド様は、ゆっくりと馬車を降りられた。そして、私に向かって手招きをされたため、私もゆっくりと馬車を降りました。すると……そこには、やたらと大きなお屋敷がありました。そのお屋敷に、私は唖然としてしまいます。だって、このお屋敷……私の実家よりも、大きい。 「あ~、やっぱ長い間馬車に乗ってると疲れるわー」  ブラッド様は、そんなことをおっしゃって大きく伸びをされました。まぁ、丸々五日間は馬車を走らせていたので、疲れますよね。私も、間違いなく疲れています。しかし、のんびりとはしていられません。だって……ここは、フロイデン王国。私は、近隣の国の元とは言え、王妃。いい扱いをされるわけがなくて……。 「ほら、フライア。行くぞ」 「え? って、ちょ、ちょっと……!」  私は、確かにそう思っておりました。ですが、ブラッド様は私の手を取ると、そのままお屋敷の中に入って行かれます。いや、私って……いったい、どういう扱いなのでしょうか? そう、私は思っておりました。だって、普通他国の元王妃をお屋敷に招き入れますか? それとも……ここで、働けとでもおっしゃるのでしょうか? 「旦那様、おかえりなさいませ。……おや、そのお方は……?」  そんなことを私が思っていると、初老の女性がブラッド様の元にやってこられました。その女性は、私を見て瞳をぱちぱちとさせております。……見たところ、侍女のようですね。年齢からして、侍女長でしょうか。 「あ~、いろいろ事情があって連れて帰ってきた。とりあえず、部屋を用意してやって。俺の隣の部屋でいいから。それから、侍女を数人連れてこい。いろいろ、世話をしてもらおうと思うし」 「まぁまぁ! 旦那様が女性を連れてこられたことなんて、初めてですよ! 今日はお祝いですね~」  ……完全に、勘違いされている。私は、そう思いながら嬉しそうな侍女長さん? の遠ざかる後ろ姿を眺めておりました。いったい、いつ誤解を解けばいいのでしょうか? 私は、それだけを考えておりました。ですが、そんな私を他所に、ブラッド様はお屋敷の中に足を踏み入れられる。そして、私にも入るように促される。……私、やっぱりどういった風な扱いなのでしょうか?  そんなことを思いながら、私はブラッド様に連れられてお屋敷の二階に上がっていく。そして、一つのお部屋の前まで、連れてこられました。そこは、豪華絢爛と言った風な言葉が似合うようなフロア。きっと……このお屋敷の主の家族が住むであろう、場所。
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