お飾り王妃ですが、何故かいい扱いを受け始めました

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「ここが、これからフライアの部屋な。……一応、ずっと綺麗にはしてあるし、すぐに使えると思うぞ」  ブラッド様は、そうおっしゃるお部屋の扉を開けられる。すると、そのお部屋の中身が見えてきました。……とても、豪華なお部屋。煌びやかな家具が置かれています。鏡台に寝台、ソファーにテーブル。見たところ、色合い的には女性のお部屋のようです。……あれ? でも、ここって……。 「こ、ここって……」  お部屋の主が住むであろうフロアにあるお部屋。しかも、女性用。その言葉がさす意味が、分からない私ではありませんでした。 「おぉ、ここ女主人の部屋な。これからここに住め。それから、数人お付きの侍従を用意してやる。ドレスとかは……まぁ、母様に相談すればいいか。ま、とりあえずゆっくり寛いでおけ」  ブラッド様は、そんなことをおっしゃると私をお部屋に押し込まれます。い、いや、お話についていけないというか……。ひ、人様のお部屋で寛げ、という方が無理に等しいというか……。……それに、このお部屋、私がヴェッセル王国の王宮で与えられていたお部屋よりも、ずっと豪華。王宮では比較的質素な生活を私『だけ』がしていましたし。王妃用のお部屋はシンディ様が使っておりましたし。私は側妃用のお部屋に押し込まれていましたし……って、自分で言っていて悲しくなります……。 「寛げるわけ、ありません! だって、ここは人様のお部屋で……!」 「何? フライアはこの部屋が不満?」 「そ、そういうわけでは、ありませんが……」 「だったらいいじゃん。どうせ誰も使ってないし、母様と父様は隠居してるし。この屋敷の今の主は俺だし」  ……な、なんという俺様思考。そんなことを思いながら、私はただ茫然としていました。その間にも、ブラッド様によって私はお部屋のソファーに座らされてしまいます。……このソファー、とてもふかふかですね。私は、そんなことを現実逃避とばかりに、思っておりました。 「旦那様。侍女を数人、連れてきましたよ」  そんな風に私が現実逃避をしていると、お部屋の扉がノックされ、侍女長さん? がお部屋に顔をのぞかせたのでした。
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