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「あ、あの、ブラッド様?」
「なに?」
本日の授業も終わり、私はお部屋で寛いでおられるブラッド様に声をかけておりました。
私がフロイデン王国にやってきてはや一ヶ月の月日が経ちました。私は相変わらずルーベンス公爵家で不便のない生活を送らせていただいております。何故か挙式の準備も着々と進んでいるらしく、先日はウエディングドレスの採寸までしました。なぜこんなにも着々と進んでいるのかとブラッド様に問えば、ブラッド様はただ静かに「こっちにもいろいろあるんだよ」としか答えてくださいませんでした。本当に意味が分かりませんよ。
しかも、相変わらずブラッド様は授業が終わると私のお部屋で寛いでおられます。完全にこのお部屋がサボりのお部屋のように使われていますが、私には文句を言うことも出来ません。だって、私はまだこの邸では居候のような存在ですからね。
「……お仕事、された方が良いのではありませんか?」
私がそうブラッド様に言えば、ブラッド様は私の授業終わりのお菓子であるケーキをつまみながら「いいんだよ」とだけおっしゃいます。そのケーキ、元々は私のものなんですが? そう思いました。
「フライアもこっちに来い。休憩がてらケーキを食べねぇか?」
「そのケーキ、元はと言えば私のもののはずなのですが」
「こまけぇことはいいんだよ。ほら、こっちこっち」
ブラッド様に手招きされ、私はまたいつものようにブラッド様のお隣に腰を下ろします。ブラッド様は、何故か私をご自身のお隣に座らせることにこだわられております。なので、私が対面に座ろうとすれば嫌がられます。そのため、私は最近では素直にお隣に座っておりました。
「はい」
そんな声と共に、ケーキが私の目の前に出されます。そのケーキを私はちょっとずついただきました。相変わらず、美味しい。ヴェッセル王国にいたころは、こんな風にゆっくりとケーキを食べることもなかったからなぁ。そう思いながら、私はケーキを堪能しておりました。
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