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「お待たせいたしました。私がこの国、ヴェッセル王国の王妃、フライア・ヴェッセルでございます」
そして、応接間に入るとそこには、凄まじいほど堂々とした態度でこの部屋を支配する一人の男性がいらっしゃいました。短い赤色の髪と、鋭い赤色の瞳で私を見つめてくるそのお方。名を、ブラッド・ルーベンス様。年齢は二十七歳。容姿は噂通り、とても整っておられます。しかし、これで独身だというのですから、すごいですわ。そう私は思いましたが、フロイデン王国は元々結婚に対して厳しくないので、そういうのもありなのでしょう。
「……フロイデン王国から来た、ブラッド・ルーベンスだ。……俺は国王陛下を連れてこい、と言ったはずだが?」
「生憎、陛下は今多忙にされております。ですので、私が応対させていただきますわ」
えぇ、多忙にされておりますわ。寵妃の相手に……ですけれどね。
私は、そう心の中で思いながら、ブラッド様に対して張り付けたような笑みを向けました。すると、ブラッド様は鼻で私を笑われる。……失礼な、お方。
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