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「そっかそっか。じゃ、そういうことにしておいてやる。……なぁ、話は変わるけどさ、フライア」
「っつ!」
そんな前置きと共に、ブラッド様が私の顔をまじまじと見つめられる。その表情などがすべてかっこよく見えてしまって、私の心臓がいきなりバクバクとうるさくなり始める。どうしよう、どうしよう。これって、どんな反応をすればいいの? 私がそう思っている間に、ブラッド様が私の額とご自身の額を合わせてくる。
「……そろそろ、俺的にはキスぐらいしてもいいと思うんだけれど?」
そして、そのお言葉である。確かに、私とブラッド様が共に過ごし始めてかなりの日が経った。だけど、ブラッド様は私に無理に触れようとはしない。手を握られたりするだけだ。……キス、ですか。私にも一度だけ経験があります。とは言いましても、イーノク様との結婚式でした形式的なものだけですが。
「……ブラッド、様」
だから、こんな風に心臓がバクバクとうるさいことはなかった。それに、ブラッド様とのキスだったら不快ではない気がするのだ。だからこそ、私はただ首を縦に振っていた。
「良いってこと?」
ブラッド様が、再度私の気持ちを確認される。それに、私はまた首を縦に振っていました。
そして……次の瞬間、私はブラッド様に口づけされていました。それは、イーノク様と行った形式的なものではなく、愛情が伝わるようなもの。私の心を、少しばかり満たしてくれるような。そんなものでした。
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