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「……はぁ、王妃様じゃ話にならねぇ。国王陛下を連れてこい」
「で、ですが……陛下は今、多忙にされておりまして……」
「嘘を言うな。多忙なのは王妃様の方だろう? 見ればわかる。化粧で誤魔化しているようだが、目の下には隈があるし、やせ細ってやがる。さっさと国王陛下を連れてこい。わかったな!」
「ひ、ひぃ……!」
近くにいた従者を強くにらみつけながら、ブラッド様はそうおっしゃった。……そして、早々に私に興味を失われたのか、すぐに従者たちに素早く指示を出されている。……私、どうしたらいいのでしょうか?
「……それから王妃様。いったいいつまでそこに突っ立っているつもりだ」
「あ、お、お邪魔でしたよね……」
「邪魔とか、そういうことを言っているんじゃねぇ。まぁ、そこに座れ」
そうおっしゃって、ブラッド様はご自身の向かい側のソファーを、私に勧められました。とりあえず、お客様のご提案は無下には出来ないため、私はブラッド様に勧められたとおりにソファーに座ります。
「さてさて、王妃様。一つだけ、話をしようか。……フロイデン王国は、近々ヴェッセル王国に攻め入るつもりだ。今日は、その宣戦布告に来た。……さぁ、どうする?」
「え……」
ブラッド様は、まるで世間話をするかのように、大切なことをおっしゃいました。そして……それに、私は唖然とすることしか出来ませんでした。
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