story1:大樹の懇願

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story1:大樹の懇願

…女優清瀬朱々。。 奇跡的に仲間になっちゃった アイドル羽沢駆のイトコだ‼ カケさん‼頼むべ‼ 俺にも奇跡が起こるかも知れない‼ 俺ならきっと彼女をモノに出来るハズ‼… ほほえみ不動産不定期恒例、 楽しい鍋宴の後、 大樹は呑み足りないと言い お開きにせず駆だけをハシゴ酒に 誘い出していた。 残りの面々は不動産事務所内で 宴の片付けをしていた。 「俺たちは明日は休みだけど カケさんは仕事だよね? まったく大樹のヤツ。。」 裕貴が広美に話しかけた。 「クライマックスのロケらしいけど。。 まぁダイジョウブなんじゃない? 私が何が何でも起こしてやるし‼」 「アイツったら広美さんとカケさんの 馴初め聴いちゃったら 余計に火がついちゃったみたいだな‼」 一矢も心配そうな表情をした。 「大樹、いいヤツなんだけど酔うと 尚更ひつこいんだよな。」 …私みたいなオバサンが奇跡といえど イケメンアイドル駆と 一緒になっちゃったからね。 無理もないか。。… 「。。大樹の気持ちも分かるような 気がするから。。 何も出来ないけど ナンとかきっかけくらい あったらいいのにね!」 「カケさんはマジ優しくて いい人だよなぁ。。 今日だってロケで疲れていながら 来てくれて、また付き合っちゃって。 大樹には悪いけど 広美ちゃんとカケさんみたいな 奇跡なんて、そうそう。。」 …駆は。。面倒見がよくて 人が良すぎるんだね。 何だかトップアイドルとは思えないよ。 だから惹かれちゃったんだよね。… 近所の焼き鳥屋で大樹と駆は 改めて呑み直しをしていた。 今宵も大樹の懇願攻撃が続く‼ 「カケさんっ‼頼むから 一度だけ清瀬朱々さんに 会わせてくださいっ‼ お願いしますっ‼」 駆には大樹から既に以前から 何度もお願いされていて 清瀬朱々に一応直々話はしているものの 人気女優は忙しいし ましてや当然本人がソノ気にならない。 …何でこの私が たかが一般サラリーマンに 会ってあげなきゃいけないのっ?… 朱音にはIT企業社長の本命彼氏がいる。 他にも医師やパイロット、 リゾートホテルの御曹司。。 可愛がってくれる遊んでくれる 男友達がいるから何も不自由していない。 直に大樹には現実を伝えるのも気の毒で 女優ゆえ忙がしいから、 なかなか都合を合わせてあげられないと 濁していた。 「俺。。カケさんと広美さんみたいな 奇跡を信じたいんすよ‼ 俺の最後の恋っすよ‼」 「まだ30前で何言ってんだか。。」 駆はクイッとコップ酒を呑み干した。 大樹もコップ酒を呑み干し 「大将っ‼おかわりね‼」追加した。 同じ会話の行ったり来たりが 繰り返されていた。 大樹にかなりの酔いがまわってきていた。 駆も大分酔いがまわってきてしまった。 「大樹っ‼悪いけど もうぶっちゃけるわ、 覚悟しなよ‼ 朱音、彼氏いるんだわ。 本命以外にも男友達は 数人いるみたいだよ。」 「そんなの分かってるっすよっ。 いて当たり前っすよ‼ あんなに可愛いんだから‼」 「最早、朱音は普通の男じゃ 手に負えない女だよ? 大樹が振り回されるだけだ。」 …以前ウチのメンバー、 芸能人の野郎ですら 振り回されたからなぁ… 「振り回されて全然いいっ‼ 真理凜や心夏にも 振り回されてるし‼」 「それ、キャバ嬢だろ? 彼女らは商売なんだよ? 目を覚ましなよっ‼」 「いいや、彼女らは絶対に 俺に惚れ込んでいるべ‼ 間違いないっ‼」 プラス思考、前向きな大樹。 的を得てればいいのだけど得てない。 …まったく羨ましいような。。 可哀想なヤツだよ、コイツ… 駆は苦笑いした。 「カケさん、いい人だもん‼ 絶対に会わせてくれるってぇ。。」 「。。都合が合わないことには、な。」 「俺が‼何が何でも都合あわせますよっ‼」 「それにそんじょそこらの 中身のデートじゃ バッサリ切られるからな。 朱音、ブランドモノしか 受け入れないよ?金掛かるよ?」 「俺が我慢すりゃいいんだべ‼ ヨキ牛の牛丼、大盛辞めるっ‼ 並で我慢するぅ~」 「牛丼を大盛りから並に変えたって 大したことないだろ、ハハハ」 …何か。。可愛いヤツなんだよな… 「朱々ちゃんに会いたいよぅ」 大樹は酔い潰れて椅子から転げ落ちた。 …あぁ、またコイツん家まで 送ってやらなきゃな… 駆はふらつきながらも大樹を抱え上げた。 そこに妻.広美が現れた。 「あ~ぁ、また大樹潰れちゃったねぇ」 「広美~っ、来ちゃったの? こんな深夜に一人出歩いて来て アブナイよぉ~っ‼ 俺の大事な広美がオオカミに 喰われたら大変だよぉっ」 駆は広美の手を握った。 「駆だって相当酔っぱらってる‼帰ろ‼」 広美は握られた手を振り払った。 「付き合い良すぎだよっ‼ 明日も仕事なのに。 セリフ忘れちゃったんじゃない? 知らないよ‼」 「広美、ゴメン。。。 絶対に仕事には響かせないから 心配しないで。」 …分かってるよ。それが駆だもの。。 でももうそんなに若くないでしょ。…苦笑 泥酔の大樹が広美がいるのに気がついた。 「広美さんは~オオカミに 喰われるんじゃなくて~ 喰っちゃうべ~アハハ」 「大樹っ‼覚えてなさいねっ‼」 「広美っさ~ん‼どうやって カケさん捕まえたんすかぁ?」 「もうっ‼この酔っぱらいっ‼ さっき鍋宴で話したじゃんねぇ‼ 大樹、帰ろっ‼」 「カケさ~ん、 何でこんなオバハンに 惚れたんすかぁ~ 男に捨てられてウチに 入って来たんすよ~この先輩」 …大樹っ‼言わないでよ‼そのことは‼ 駆は知らないんだからっ…怒 忘れていた傷を。。癒えてはいるけど 広美は哀しい表情になって 駆の表情色が咄嗟に変わった。 「大樹っ‼言っていいこと、 イケないことがあるわなっ‼ お前が広美の何を知ってるって 言うんだっ‼」 駆は大樹の襟具利を掴んだ。 「駆っ‼馬鹿しないでよっ‼アンタはっ‼」 危うくアイドル、ハリケーンだろと スベりそうになった。 アブナイ、アブナイ 広美は咄嗟にモノ凄い力で 二人を引き離した。 「とにかく帰ろ‼何時だと思ってるのっ‼」 広美と駆は何とか大樹を家まで 送り届けようと焼き鳥屋を出たところで 心配した一矢が迎えに来た。 あれから一矢は馴染みの店で 彼女と呑んでいたみたい。 「。。カケさん、広美さん、申し訳ない。 コイツ、やっぱ潰れましたね。。」 「イヤイヤ、こっちはダイジョウブ。 あれ?彼女は?」 「彼女も酔い潰れて、俺の部屋で もう寝ちゃってますよ。」一矢、苦笑い 「南波さん、イッキ呑みするからね‼」 「南波はキャリアで忙しいヤツだから、 そんなもんですよ~ それにしてもカケさん、 明日仕事なのにダイジョウブですか?」 「まぁガンバるよ‼」 「コイツは俺が送ります。 たっぷり説教しておきますから 懲りないでくださいね。」 「あぁ‼またヨロシク‼」 暗い夜道、帰り道、駆は歩きながら 広美の肩を抱いてきた。 「広美。。嫌な思いさせたね。ゴメン」 「。。私はダイジョウブ。 大樹はピュアなヤツ。悪気はないんだ。 チョット酒クセ悪いの分かってるし。」 …広美。。男に捨てられて?。。 相当辛い過去があったのか。。 イヤ、知らなくていい… 「大樹の気持ちはよく分かるんだけど。。」「駆は何とかしてあげたいんだね。」 「広美。。俺が初めて食事誘った時、 あっちゃん食堂だったけど、どう思った?」 「あっちゃん食堂、一瞬ビックリしたけど。。まぁ嬉しかったかもね。」 「そん時って、もう俺のこと好きだった?」 「あん時はまだビミョ~かなぁ。。 でも嫌じゃないから行ったんだよね。」 「朱音ちゃんはノッて来ないよね。。 彼氏いるし難しいよねぇ。。」 「大樹、俺たちの馴初め知ってより 火がついちゃったからなぁ」 「一度私が朱音ちゃんに話してみようか? 1回だけお願い、会ってやってと。 朱音ちゃんのことだから 大樹には可哀相だけど まともに相手にしないで終わるだろうし、 それで納得しないかなぁ?」 「。。でも、どうやって?」 暫くすると広美が大きな声を挙げた。 「閃いたよっ‼駆っ‼」 「何?何?いきなり」 「いいアイデア思いついたよ‼コレだっ‼」 「どんなの--っ?」 駆は立ち止まった。 「帰ったら話すよっ‼」 「聴きたいっ‼」 駆は広美に抱きついた。 まだまだラブラブなんだね! 「ココ外だよっ‼ またスクープされちゃうよっ?」 「いいじゃん‼俺たち夫婦なんだから‼」 「イヤだよっ‼あんな記事が出るなら‼」 -ハリケーン羽沢駆の妻、 一般女性Kさん初スクープ‼ 人気アイドルを密かに支える 年増女房の素顔はこれだ‼- ある日、スーパーで買い物している姿を 撮られて週刊女性エイトに 掲載されてしまった。。 「ねぇ?何で私、Kさんなの? 広美なんだからHじゃん? カケルのKなら分かるけど、 アレ可笑しくない?」 「俺も何でだか分かんない。 エイトに聴いてみるか~?」 -何かのまちがいか? それとも広美の顔が あまりにもこけし顔だったから Kにしちゃったってか?それは謎~-
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