story2:仕掛けランチ

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story2:仕掛けランチ

「二人だけでいきなり会うのは リスク高いよね。 ウチでランチに招待するんだよ‼」 広美が閃いた提案を話した。 「ウチでぇ?」 駆は思いがけない提案に驚いた。 「問題ある? たまにハリケーンのメンバーとか 後輩君たち連れて来てるじゃん?」 「。。問題はないけど。。 皆、広美の料理は喜んでくれるしね。」 凄んごいっ‼広美‼ トップアイドル ハリケーンのメンバーに ご馳走振る舞ってるのか‼ 「勿論、駆も居合わせて 大樹と朱音ちゃんを 招待するの‼どう?」 「。。それならまだ 自然な感じがするのかなぁ。。」 「朱音ちゃん、私にもなついてるし これなら来やすいんじゃない? やっぱいきなり 知らない二人で会うって 抵抗あるもの。 大樹は大口叩いてるけど案外気弱いし。」 「それ。。やってみようか。。」 「その先はもう 何もしてあげられないけど。 じゃないと一生会わせろって 大樹に言われそうだからさ。」 ※※※ ザ.ブライムシタマチ二人の部屋 大樹と朱音 引き合わせランチの日が来た‼ 「嬉しいなぁ‼広美オバちゃんの ご馳走食べられるんだ~‼」 大樹より先に朱音がやって来ていた。 大樹が来る事をまだ朱音には 知らされていない。 「朱音ちゃんの好きな 5つ星レストランには敵わないけどね‼ お手柔らかにね‼」 広美はテキパキと何品もの料理の 下ごしらえを進めている。 朱音は広美が料理をしている姿を 尊敬の眼差しで見つめている。 「オバちゃんの料理は大好きっ‼ 美味しいもん‼ カケ兄ちゃん、いいなぁ~ 毎日食べれるんだもんねっ‼ オバちゃん、カケ兄ちゃんの胃袋 しっかり掴んだんだね‼」 …慣れたけど。。言われて当然だけど。。 オバちゃん、オバちゃん、仕方ないか… 広美、密かに苦笑い。 「何で~4人分?まだ誰か来るの?」 朱音は4人分の用意を見て当然疑問に思う。 「朱音、チョット来て」 リビングのソファーにいた駆が 朱音を手招いた。 「なぁに?カケ兄ちゃん」 朱音は駆の隣に座った。 「朱音、騙したわけじゃないんだけど 実は話していたサラリーマンのコが 来るんだ。」 「マジで?。。 で、私にどうしろというのっ?」 「朱音はそのまんま、ただ一緒に 飯食ってくれるだけでいいよ。」 「私、彼氏いるんだよ? もう朱音のイケメンスケジュールに 入れる余地なんてないよ‼」 「イケメンスケジュールに 入れなくていいから 今日だけ会ってやって‼頼むっ‼ 俺も広美もいるからダイジョウブだよ‼」 「アイツ、遅いな。何してるののかな」 駆がふと時計を見た。 実は大樹、とっくにマンション下には やって来ていたが 夢のような清瀬朱々との対面に 緊張しずきて玄関から先に入れず モジモジしていた。 …はぁ---っ。。ふぅ--っ。。… ひたすら深呼吸を繰り返し 立ったり座ったり ウロウロしたり 落ち着きのない怪しい男にしか見えない。 「チョット見に行ってくるわ」 駆は玄関まで様子を見に行った。 「ねぇ?もしかして広美オバちゃんも その男と私、くっつけようとしてるの?」 「まさか‼そんなことないよ‼ 朱音ちゃん彼氏いるじゃない。」 「どんなヤツ? 私、ブサ男はキライなんだけど」 …大樹。。イケメンかどうか聴かれたら ゴメン‼ブサ男になっちゃう。。よ… 「あ、でもいいヤツなのよっ‼」 「。。いいヤツじゃ期待出来ないな‼ 私、イケメンしか興味ないの‼」 「分かってるって‼ 駆も私も別に無理矢理どうこうなんて 考えていないよ‼ でもヤツ、ホントに朱音ちゃんの ファンだから一度だけ 夢を叶えてあげたいと思ったんだ‼ とにかく皆で楽しく食べよ‼」 「うん。。分かった。 広美オバちゃんのご馳走、楽しむね‼」 駆は玄関先でうずくまっている 大樹を見つけた。 「大樹?何してるんだ?来てたんだ」 「カ、カケ、カケさんっ‼」 大樹はかなり動揺している。 「来てるなら入って来なよ、もうっ」 「か。。彼女、き、来てるんすか?」 「とっくに来てるけど」 「わ-----っ‼ 俺、やっぱ無理っす‼」 大樹は響き渡る大声を出した。 「何言ってんの?会いたいんだろ?」 「ひぃ--っ‼帰りますぅ‼ 俺、無理だっ‼」 通りすがりの住民が何事?と見てゆく。 「何言ってるの、大樹っ‼ みっともないから、とにかく入れっ‼」 駆は強制的に大樹を部屋に 連れて行った。 「大樹、来たよ~‼ホレ、入れっ‼」 -ついに大樹‼憧れの清瀬朱々と 奇跡のご対面ぇ~~ん‼- …あ‼あ------------っ… 何て小さな顔‼透き通るような肌の白さ 吸い込まれそうな愛くるしい瞳 潤いある口唇、艶やかなセミロングヘア 彼氏からプレゼントのティフェニーの アクセをさりげなく身につけ 身体のラインがハッキリの ホワイトのニットに モスピンクのミニスカートの下は 抜群の脚線美が。。 これでも普段着の清瀬朱々‼ まさに目の前にいた‼ …こっ、この世のモノとは思えないっ‼ 綺麗だ‼美し過ぎるっ‼ 花だ‼天使だ‼妖精だ‼ 何だかイチコロにされそうな 不思議オーラを放ち 胸は形よく抜群にボリュミーなのに 身体、ほ、細いっ。。 飛んでいって消えちゃいそうだっ‼… まるで幽霊じゃん~ 大樹は口を開けたまま茫然状態。。 朱音は …コイツかよ、ヤッパリね。。… と思いながら無表情で大樹を 見つめていた。 「じき出来上がるから座ってよ‼」 広美は、皆、キッチンテーブルに 座るよう促した。 広美手づくりランチは 男女ともに楽しめるメニューで アボカドのバジルサラダ 和風ポークピカタ シーフードパスタ レモングラスのシャーベット。。 すべて手づくり‼ さながらレストラン顔負けの ランチコースの振る舞い‼ テーブルには駆と大樹、広美と朱音で 並んで座り、差しとなった。 「私が勤める不動産の後輩の 風浦大樹クンね‼28歳っ‼」 大樹は固まったままなので 広美が紹介した。 「た、た、大樹ですっ‼★♀●♂▽▼*」 大樹は頭の中が真っ白で 何と挨拶したか聴き取れない。 「本名は近藤朱音さん。 俺の親父の弟の奥さんの弟のコ‼」 これまた混乱★※◆ 朱音も無言だったから駆が紹介した。 朱音はクールな表情で 「どうも。。」と一言呟いた。 「さ‼食べよっか‼」 一斉に食事を始めたが皆、無言。。 暫くして …このままじゃヤバイな、仕方ないな… 思った広美は 「チョットだけ昼呑み用意しょっか?」 立ち上がった。 「いいねぇ~‼」 駆は、広美、助かる目線を送った。 「え--――――っ‼ 呑ませてくれるんすか-っ⁉」 大樹は途端に嬉しそうな表情で 大声を挙げた。 「ほどほどだからねっ‼」 広美と駆は揃って鋭い眼差しで大樹を見た。 冷えたスパークリングワインが用意されて 乾杯した。 やはり酒が入ると大樹のテンションが 上がってきた。 「旨めぇ~すよっ‼ 広美さんっ‼すっげぇ‼ 店やったらいいんじゃないすかっ? 空き店舗あるじゃないすか‼」 「イヤイヤ、店なんて無理に 決まってんじゃん‼大樹ったら」 大樹は何気に誉め上手なところがある。 誉められて嬉しくないわけはない。 「こりゃ、カケさん惚れて当然だよっ‼」 大樹は慣れればよく喋る男。 酒が入ればパワーアップ‼ 男のくせに噂話が好き。 勤務するほほえみ不動産会長一族の 話題になった。 「会長はさ、結婚3度めなの! 最初の妻は逃げて 2度めの妻は死んじゃって、 今のひさよなんだべっ‼ 裕貴はひさよの前の旦那との子で連れ子! 前妻らの間に6人子供がいるんだべ‼ 銀次郎、スキモノだべっ‼」 「裕貴もバツイチなの‼ 大学出てスグ結婚したけど 相手がひさよに耐えられなくて 逃げちゃったんだって‼ で、今の妻の美穂は通ってた スナックの女っ‼ スナックでひっかけたんだべ‼アイツ」 …裕貴のあの時の結婚は 確かに皆、驚いたよね。 サークル仲間のひとりだったもんね。 格段気が強い子だったからねぇ。。 会長夫人と難しかったのは 今なら理解出来るよ。。 美穂ちゃんはその時家が大変で 昼間も働いて 夜、仕方なくスナックに勤めていた って言ってたよ…広美の内心の呟き 大樹は機関銃のような ダンガントークを繰り広げた。 よく知ってるなぁ。 しかし特別に笑える話ではナイ。。 皆、しれ~っと黙って聴くだけだった。 「お待たせ~‼ 今日のメインのシーフードパスタだよ‼ このあとデザートで終了~‼ 昼呑みもこれにて終了~‼ コーヒー出してあげるからね‼」 シーフードパスタは ゴロッと魚介が入ったオイル系パスタで 魚介類の新鮮プリプリ感が楽しめる 見事な仕上がりだった‼ コレまた、ワインもビールもススムゥ~‼ 「まだ呑み足りないんだけど?」 大樹と駆が口を揃えた。 「特に大樹はダ~メェ‼皆、終了っ‼」 「俺、全然ダイジョウブっすよ‼」 「今、ある分で終了--------っ‼」 …だって、大樹が潰れると 面倒なんだも~ん… 駆が言い出した。 「大樹、折角なんだから 朱音と何か話したら? もうこんな機会はそうそうないよ?」 いきなり振ってこられた大樹。 目の前にいる、ほんのり頬が染まっている 憧れの朱音が可愛い過ぎて。。 …何を話せばいいのか分かんねぇよぉ‼… 大樹は泣きそうな顔になった。 朱音から口を開いてきた。 「大樹。。さんだっけ? 芸能レポーターとか向いてるんじゃない?」 「いやいやいや、とんでもないっす‼ へぇ~っ、そうかなぁ‼」 お調子者の大樹、照れ笑い だけど誉め言葉ではなかった。 「私の一番大嫌いなタイプだからっ‼」 朱音は言い放ち立ち上がった。 「私っ‼この仕事していて 芸能レポーターが一番嫌いなんだよね‼ ウルサクて、ひつこくて、 でもヤツらは仕事だから仕方ない。 この人、一般人のくせにヤツらと一緒‼ 他人のプライベート 何が楽しいっていうのよっ‼」 「うっ。。。」 大樹、瞬間冷凍‼築地市場 「朱音っ‼言い過ぎっ‼」 「あ、朱音ちゃん‼待って‼」 駆と広美は咄嗟に叫んだ。 「折角の美味しい 広美オバちゃんの料理が台無しっ‼ つまんなかったっ‼ 私、もう帰るからっ‼」 大樹は冷凍マグロのように 固まっていた。 すし三昧、セリ落として~ 駆は必死に宥めに入った。 「まぁまぁ朱音、落ち着こうよ‼ 皆でパズドラやろうかっ‼ 広美、コーヒーはリビングに お願い出来るかな?」 「了解っ‼」 駆は大樹も朱音もパズドラに ハマっているのを知っていたので 険悪ムードの二人を 無理矢理リビングのソファーに導いた。 「カケ兄ちゃん‼私、帰りたいのにっ‼」 「分かってるよ‼パズドラだけ付き合え‼」 3人でパズドラに興じた。 それが‼案外盛り上がってしまい 次第に険悪な空気は薄れていった。 広美はキッチンで片付けをしながら 振り向いて胸をなでおろしていた。 「片付いたら広美もやろうよ‼」 駆は声を掛けた。 広美はニッコリ笑って頷いた。 まさに、こけしの微笑み。。 可愛いじゃんねぇ? パズドラで盛り上がった後、 朱音はタクシーで帰った。 3人で玄関まで見送りに行った。 奇跡の朱音との初対面は 出来た大樹だが パズドラ以外はまともに喋れず ましてや悪印象も与えてしまい どんより項垂れていた。 「大樹、もうチョイ家で呑むか?」 「いいんすか?カケさん」 「俺と話そう。広美、いいよね?」 「いいよ。もうチョイだけ大好きな 日本酒出してあげるから」 「スミマセン。。。」 優しいね、広美と駆。 ※※※ お説教部屋 駆と大樹はリビングで冷酒を 酌み交わした。 広美はアテに枝豆を出してあげた。 「あのさ~大樹、 ほほえみ不動産の皆の あんな話はするなよなぁ? 良くして貰ってるのに 俺もかなり不愉快だったよ。 広美もそうだよね? ましてや何も知らない部外者の朱音は あの通り不愉快になって当然。」 「やっぱヤバイ話っすよね。。」 大樹はよりションボリした。 「こないだ、自分酔い潰れながらも 言ったハズ。覚えちゃいないだろうけど 言っていいこと、イケないことがある。 お前、もうコドモじゃないんだから‼」 「スミマセン。。」 …あぁ。。私の過去の話だね… 「大樹、まさかほほえみの皆のこと 嫌いなのか?ンなわけないよね?」 「んなわけありませんっ‼皆大好きっす‼」 「なら、2度とあんな話するなよな‼ これからは‼」 「ハイ。。気をつけるっす。。 スミマセン‼気をつけます‼」 …駆は親身になって 語っちゃうんだよね。 それが説得力があって 尊敬しちゃうな… 暫くすると 駆のスマホにLINE着信が入った。 …あ‼。。。… 「朱音からだ。。」 「マジっすかっ?」 朱音:ごちそうさまでした‼ありがとう‼ また遊びに行きた~い‼\(^o^)/: 朱音:初対面の大樹さんに言い過ぎた。 私、大人気なかった。ごめんなさいって お伝えくださいm(__)m: 朱音:また一緒にパズドラやりましょう(’-’*)♪: 「大樹っ‼ヨカッタじゃんっ‼」 「ホーント‼救われたねっ‼」 「ありがとうございますぅ‼うっ、うっ。」 大樹は泣き出した。 「なーに泣いてんだよっ‼ガキッ‼」 大樹はコドモみたいに、わんわん泣いた。 -笑えるほどアホでピュアなヤツだよ‼- …清瀬朱々。。朱音ちゃん。。 本当は優しくていい子だべ‼ 間違いないっ‼ ますます朱音ちゃんに 惚れちまうよ--っ‼…
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