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story4:大樹‼マジか?
風浦大樹。。憧れの清瀬朱々.
朱音に奇跡の生対面を果たし
パズドラで盛り上がってしまっただけで
恋の暴走のエンジンが徐々にかかってゆく‼
そこでまた駆に相談を持ちかけ
広美の作るご飯も食べたいと言い出した。
厚かましいヤツだね~
「広美、大樹のヤツさ‼
またウチに来たがっているんだけど?
LINEが来てたよ。」
「会社でも何度も寄ってきて
飯食わせてくれって懇願してきてる。。」
広美は苦笑いした。
「あんまり頻繁になるなら金取ってやるか?」
「ホントだよね‼まぁ取るわけにいかないけどさ」
…こうなったら広美オーナーシェフ‼
こけし食堂?
レストランこけし?
開いちゃおうか‼
なーんて言ったら怒られそ‼…
―何で店の名前がこけしなのっ‼―
「朱音ちゃんを呼んでとは言ってないの?」「何故か朱音を呼んでとはないんだな。
てことは?
広美、まさか大樹の胃袋掴んだかっ?」
駆はニマッと笑った。
「え--っ、それって困る~。。」
…私も。。もし‼
朱音ちゃんの立場なら引いちゃうかなぁ。。
悪いヤツじゃないんだけどねぇ。。…
※※※
「ほらっ、大樹の大好きな牛丼だよっ‼」
広美、大樹に熱々出来立ての牛丼に
卵をつけて味噌汁も出した。
「うぃ---っ‼最高っ‼頂きまっす‼」
大樹は嬉しそうに牛丼をかけ込む。
「味わって食えよっ‼」
「。。んすっ‼。。んっすっ‼」
「有り難いと思えよっ‼」
「旨んめぇ~‼ヨキ牛と違---うっ‼」
「当たり前だろ?ヨキノ屋の牛丼と
広美の料理一緒にすんなよっ‼」
今日の駆はいつになく怖い?
「極上っ‼毎日食いたいっすぅ‼」
「大樹‼今日から一杯1000円頂くよ?
ヨキ牛より良い肉使ってるんだからねっ‼」
「毎日払いますっ‼払いますっ‼」
「毎日来られたら困りますっ‼」
広美は大樹にイー---ダッ‼をした。
※※※
大樹の今日の相談、お願いは。。
朱音と連絡先を交換して
せめてものLINEやり取りがしたいと
いうものだった。
「大樹、マジかっ?」
…悪いけど見込みないぜ?…
駆はこの状況は、
もしやと想定していたから
落ち着いて応えてあげた。
「一度会えて満足じゃないの?
普通は絶対にデキナイことなんだよ?」
「朱音さんにこないだのこと
ちゃんと謝りたいっす。。
またパズドラやりたいんすよ‼
朱音さんからのLINEにも
パズドラしましょうって
あったじゃないすか‼」
大樹は滅多にない真剣な表情だった。
「大樹。。アレ社交辞令だよ?」
「そう、朱音ちゃんの優しさね‼」
二人は訴えてみるものの
「俺‼やっぱり朱音さんと会えた奇跡の
先の奇跡を信じたいんすよ‼
カケさんと広美さんみたく」
「私たちみたいに、と言われてもねぇ」
「カケさん、広美さんに
結構猛アタックしたんすよねぇ?」
「まぁ。。。したのか?」
駆は広美をチラッと見た。
「そうだねぇ~step1だの
何やら妙な極秘プランは
あったみたいだけど?」
「それは俺だけのシークレット‼」
「カケさんっ‼それ教えてくださいっ‼」
「イヤイヤ、アレは大樹は
マネしちゃダメだなっ‼
朱音にコロされちゃう」
「え--っ‼広美さんにはO.K.で
朱音さんはダメなんすか?
何それ―――――っ‼
教えて------っ‼」
大樹はいきなり立ち上がって
収納棚に飾ってある
駆の自作HIROちゃんこけしを
咄嗟に掴んだ‼
「あー---―――っ‼、
俺の大事なHIROちゃんっ」
「こないだも気になったんすけど、
コレ広美さんに似てないすか?」
「ダメだっ‼触るなっ‼」
二人はじゃれるように揉み合って
駆は必死に大樹から取り返した。
「絶対に触るな~っ‼あ゛~っ」
駆は唸り、この世のものとは思えない
オドロシイ表情をして
HIROちゃんこけしを撫でまわした。
「HIROちゃんって。。
そんなにこけし撫でまわすなんて」
大樹は、人生で一番凄いモノを
見たぞくらいの驚きの表情だ‼
「まさかソレ、カケさんが作ったんすか?」
「あぁ、俺の、じっ‼」
…駆っ‼こけし趣味カミングアウトは
アカンっ‼…
広美は咄嗟にモノ凄い力で
駆を羽交い締めするように頭を抱えて
口を塞いだ。
…ひっ‼広美っ‼俺をっ。。コロす気かっ?…
駆は、もがき苦しむ。
そして遮るように
「あ―――っ‼ソレお土産に頂いたのっ‼
奥さんに似てるって‼
私によく似てるよね-―――っ‼」
広美は叫んだ‼
…大樹にこけしシークレットがバレたら
大変だぜよっ‼…広美の眼は血走っていた。
「カケさ~ん‼
もしや広美さんと離れてる時は
ソレ抱いて寝てるんすか?
ヤッベェ―――‼」
大樹は愉快そうに腹を抱えた。
「飾ってるだけだよ――――――――っ‼」
駆は息を吹き返し叫んだ。
「今、思いきり撫でまわしたじゃんね~
イヒヒッ‼」
大樹、勝ち誇った笑み。
…ゲゲッ‼やっちまった‼…
「カケさんっ‼最後のお願いっ‼
朱音さんと連絡先、交換したいっ‼」
「悪いけど多分、無理だよ。。」
「カケさんが広美さんこけしを
撫でまわしているって
バラしていいんすかぁ~?」
「うっ。。。‼」
駆‼挙動不審状態‼
…決して見られてはならぬ姿を
見せてしまったっ。。
この世のオワリだっ‼…
※※※
…大樹に弱味を握られてしまった。。
ナントカしなきゃ…
駆が恐る恐る朱音に
大樹の意をLINEで伝えると
以外な返事が帰ってきた。
:いいよ、LINEくらい:朱音
KACE:マジ?大丈夫なの?:
:ちと、オモシロそうじゃん(≧∇≦):朱音
KACE:俺たちはもう責任持てないからね!朱音の自己責任だよ。
ヤバイことだけはしないように‼:
:コアラとパズドラしたいだけ(^^ゞ:朱音
…コアラって?
大樹のこと、コアラってか‼
もしや、大樹を実は気に入ってしまったのか?
でも大丈夫かなぁ。。
朱音、一体何を考えているのかな。。…
朱音の真意、不明
※※※
「ヒャッホ―――――――イッ‼」
朱音と連絡先が交換出来た大樹は、
コアラのように木に登り詰めて
地に足がつかず舞い上がった‼
…もう清瀬朱々は俺の彼女だっ‼…
くらい思い込んでしまっている。。
コアラ、アララ
早速大樹は失言お詫びの文書から
LINEで送った、
さすが一応?ビジネスマン。
業務的な始末書のような
完璧なお詫び文を送った。
…会社じゃないんだよ!全く…
朱音は読んで笑わずにはいられなかった。
…誠意あるちゃんとした文章。。
コイツ、アホかと思ったけど
仕事はちゃんと出来るヤツ?…
大樹:朱音さん、マジまた一緒に
パズドラやりませんか?:
:いいよ‼ただし朱音が行きたいレストラン予約出来たら付き合ってあげる:朱音
大樹:何という店?絶対に予約する‼:
:金座にあるリッツ.カネイル.ド.ホニャラポワン.ムッシュ.コージっていうお店!
ヨロ(*^▽^)/★*☆♪:朱音
…リッツ.カネ?ナンだかコージ?
やたら長っげぇ名前の店だべ…
―それは不可能に近い無理難題だった―
大樹はスマホで検索してみると
トップでその店の情報が出てきた‼
40代前半の急上昇カリスマ
凄腕オーナーシェフ郷田浩司。
本場フランス、ミシュへラン5つ星名店で
活躍して去年帰国して金座に店を構えるも早々、ジャパンミシュへラン5つ星に
認定されたフレンチのニューフェイス店。
予約は2年先まで埋まっている‼
大樹は店舗情報やメニューを検索してみた。
うっわぁ―――――――――――――っ‼
悲鳴を挙げた‼
見るも美しすぎる芸術的フレンチ料理写真の数々‼
◇記念すべき日のプランは
オーナーシェフ郷田と直接ご相談くださいませ。
オーナーシェフ郷田が全身全霊をかけて
至福のご提供をお約束致します。◇
…いわゆる時価ってヤツ?怖っ。。…
一番リーズナブルプランのランチすら
…この一人前料金、居酒屋なら
どんだけ呑めるべ?…
大樹の腰が半分抜けてしまった。
予約カレンダーを確認すると
ズラリと満席マークで占められていた。
「あ―――っ‼ダメだべっ、こりゃ。。」
大樹はため息をついた。
しかし画面を滑らせていくと
1ケ所だけ空席有りの欄があった‼
開いてみると
〇月△日17時30分空席1
と表示されている。
急なキャンセルがあったのか、
丁度2週間後だった。
ディナーメニューのプランを見ると
一番リーズナブルでも
お一人50000円だった。
「うわぁ~‼二人で100000円ってか?
酒代は別だべ。。マジかよ。。
海外旅行に行けちゃうべっ‼」
…スゲェ世界があるんだな。
さすがにこれは無理だべ、トホホ。。…
でも―――――っ‼
大樹、気づいた‼
…通っているキャバクラ代、
数重ねりゃ変わらないってヤツ?
朱音さんとお付き合い出来るなら
俺、もうキャバクラ行かねぇべ?…
もう俺はキャバクラに用はないっ‼
こうなったら奇跡に全部注ぎ込んでやるぅ―っ‼
大樹はさっさと予約画面に進んでしまった。。
大樹:お店、〇月△日17時30分予約出来ました‼会ってくれますよね?:
…。。マジっ‼
どうして?どうやって?。。…
朱音は、ドラマ撮影の休憩中だった。
…亮介も翔平も、景博すら予約取れないって嘆いていたのに。。ウソだよね…
朱音は動揺を隠せなかった。
…わざと絶対無理難題を投げつけてやったのに一体何なのっ‼クズコアラって‼
何で~?何か笑えるっ‼…
思わず手にしていたドラマの台本を丸めて
アチコチ叩きながら
壊れたように笑いが止まらなかった。
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