story7:朱音ピンチ‼

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story7:朱音ピンチ‼

「朱音ね、コアラ―とお付き合いして いいよ‼アンタとパズドラ楽しいもん‼」 …やった―――っ‼ 憧れの女優が俺の彼女に‼ カケさんっ‼広美さんっ‼ 俺にも奇跡が舞い降りちゃったべ‼ ありがとおぉ… あくまでもパズドラ相手なんだけどね~ 「コアラーはね、朱音の5番目だから‼」 …5番目。。他に4人も付き合っているヤツが。。 こんな綺麗で可愛いんじゃ仕方ないなぁ… それでいいんかい? 「どうしたらランク上がるんだべ? どうしたらいいべ?」 …アホなこと聴いてくるなぁ…呆 「私がグルメやスィートルームが お気に入りなの理解していないわけ?」 「そっかー、旨いもん食いたいよね‼ 素敵なとこで過ごしたいべな‼」 全くビュアな?大樹 「コアラ―は不動産会社の 普通のサラリーマンだから 100歩譲ってスィートルームは 免除でいいや‼ パズドラやれればいいんだし‼」 …高級飲食店。。 何処まで俺の貯金持つんだろ。。 ほほえみの給料が決して 安いわけじゃないんだけど。。 かなりキャバクラに投資しちゃたべな。。 思うほど貯金ないや。。トホホ もっと働くしかないべ‼ 大樹は夜、出来るアルバイトを探し始めた。 …奇跡を逃さないようガンバんべ―――‼…※※※ 大樹はこの日も高級鮨店で 朱音に満足してもらい 着替えてマンガ喫茶に入った。 最初のデートで勉強した? あれから着替え持参 食事のあとそれぞれトイレで着替えて 楽しいパズドラタ―――イムへ♪ 着替え。。まるで女子高生だな~ 「。。ちよっとお化粧直してくる。」 途中で朱音が席を立った。 「うん、行ってら~‼」 大樹はそのままパズドラに熱中した。 マンガ喫茶は雑居ビルの中のテナントで トイレは店外にあった。 朱音が用を済ませ出てきたところに 一人の男性がいきなり立ちはだかった‼ 「朱々、迎えに来たよ。」 朱音は驚いて固まった。 彼氏の青山景博だった。 「どうして?何でこんなところにいるの?」 朱音は戸惑いを隠せなかった。 「朱々に大事な話があってね。 迎えに来た。」 「私、今友達と遊んでいるんだけど。。」 「あぁダサい男とね、パズドラ楽しそうに やっているね。」 「。。見ていたの?」 朱音は青ざめた。 「俺もたまにはマン喫で マンガでも読んでみょうかってさ。」 …嘘だ。。この人ヤバくない?。。… 「パーキングに車停めてる。 ウチに来て欲しいな。」 「今日は無理、ゴメン。。 また改めて連絡するから。」 朱音はマン喫店内に戻ろうとしたけど 景博に力ずくで腕を掴まれた。 「誰が君を助けたか また忘れちゃったの? 俺はいつもいつも君の望み を叶えてあげているはずなんだけど? 違うかな?」 朱音の耳もとで怪しげに囁いた。 …誰にも明かせない弱味。。 つきまとう弱味。。 逃がれることは出来ないんだ。。… 朱音は景博に強引に手を引かれて ビルの外へと消えていった。。 …女子ったって、いくらなんでも トイレ長くないか? 気分でも悪くなったのかな… 戻ってこない朱音を大樹は心配になった。 まさか女子トイレを覗くわけには いかないから店員にお願いした。 店員は様子を見に行き 大樹のところに戻って告げてきた。 「お客様、お手洗いには ドナタもいらっしゃいませんが。」 …え――――――っ?何で? 何処に行っちゃったべ、朱音さんっ⁉… お化粧直しというので ハンドバックは持っていったが スマホと着替えだけ席に残されていた。 大樹は手掛かり心当たりのないまま 朱音を探して夜の都会を さまよってみたけど どうにもならず終電で帰った。 警察に。。連絡すべきか、いなか。。 だけど相手は女優さんだべ? 素人より大事になってしまうじゃん。。 悩んでいた。 朱音は景博の住む タワーズマンションの部屋に連れ込まれた。 主に仕事と寝るだけの部屋 几帳面さもあるから小綺麗で 何だか寒々しい部屋だ。 今まで会っていた時の 空気を感じられない。。 …怖い。。何が起きるの。。… 景博は一杯呑もうと シャンパンとグラスを用意してきた。 とりあえず乾杯をしてから 景博は、切り出してきた。 「ゴメンね。友達と折角遊んでいたのに、 連絡しなくて大丈夫?」 景博は何ともわざとらしい 思いやりを示してきた。 朱音は咄嗟にハンドバックの中を 探ったが ここでスマホだけマン喫に 置いてきたのに気がついた。 …コアラ―、アンタのことだから 気がついて預かってくれているよね? お願いっ‼… 「うん‼別に真剣な相手じゃないから、 大丈夫だよ‼ 気が向いた時に遊んでいるだけだから。」 「なら、いいけど。 俺さ、チョット朱々を 裏切っちゃったんだよね。ゴメン‼」 「なぁに?裏切ったって」 「君が行きたがっていた リッツ.カネイル、大事な接待があって 行っちゃった。」 「。。そう。。どうだった?」 「料理、素材は見事だけど スタッフが駄目だな。」 「そうなんだ。。。」 …私もコアラ―と行っちゃったんだよね… 「あの店のスタッフさ、 一流ホテルで使いモノにならなくて 切られたメンツの固まり‼ しかもオーナーシェフの郷田は ヤバイくらい天狗。 あんなのの傘下で指導されちゃ ロクなもんじゃない。 あの店3年後には多分ないな‼」 「。。。そんなの分からないじゃん?」 「あの店、腕と素材はいいのに もったいないよ。」 朱音は、思わず滑ってしまう‼ 「そんなことないっ‼ フォアグラのスープ最高だったよ‼ 他のお料理。。。あ。。」 「朱々?何で知ってるの?」 景博は、不気味なほど冷静なままだった。 「あ。。行った人から。。」 朱音は苦しまぎれに呟くけどもう無理だ。 「いいよ。何も言わないで 弁解しないでね。 実は君があのダサ男とあの店で 食事してたの知ってるんだ。」 「!!!!!!!!」朱音、絶句。。 「あの日ね、俺、パラトニックの社長の 接待であの店に行ってたんだ。 で君たちを見かけちゃった。」 「あ、あの友達が何だか 予約取ってくれちゃったんだよね。。」 朱音はドギマギしてしまう。 「朱々も、俺を裏切ったことになるよね。 まぁ、俺の方はビジネスだから 仕方ないけどね。」 「そんなつもりは。。。」 もう何を言おうが意味がないね。。 「たかが友達が、あんな高級店 連れていってくれるのかなぁ? 何処かのお坊っちゃん?」 「。。。普通のサラリーマン」 「まぁ彼に下心はバリあるだろうな! まぁ今のところは何もなさそうだから いいんだけど。でも俺を差し置いて 面白いわけはないよね。」 「アイツとはマジ何もないよっ‼」 景博は喰い殺してくるような表情に 変わった。 「でも君にはあと二人いるよね?」 …こ、この人、また何を言い出すの… 朱音に震えが来た。 「ゴメンね‼実は全部知っているんだ。 大都大学病院の医師、 NALのパイロット。 彼らは俺と同じように 付き合っているんだね。」 …何でバレてるの。。。 でもさすがに 遠距離の御曹司、沫森君のことは 知らないみたい。。… 「朱々、何やってるの? 二人とも家族アリじゃないの。 不倫は駄目だよ。」 朱音はソファーからフローリングに 崩れ落ちた。 「な。。な。。何で。。」 朱音は震えていた。 「朱々が心配でさ。君のスマホに GPS取りつけてあるんだ。」 「いつ。。そんなことを。。」 「いつだか忘れた。 君がシャワー浴びてる時かな? あと色々調べさせた。 ダサ男とディナーしてるのすら 何だか妬けちゃったよ。 俺も情けないヤツだよなぁ。。」 朱音には、景博がもう本当に デビルのように見えてきた。 朱音は何とか冷静さを 必死に取り戻しながら やっとの思いで口を開いた。 「で?私にどうしろと?お別れする?」 「開き直るんだ?君って凄いね、 驚いたよ‼」景博は、声を立てて笑った。 「それ真逆‼何で君と別れなきゃいけないの?色々あっても朱々のナンバー1は俺だろ?だよね?」 景博は、小さな箱を取り出して開けた。 「今夜、このタイミングで 出したくなかったんだけどね。」 見事なダイヤモンドのリングが出てきた。 絢爛豪華。。おいくらするの。。 「これって。。」 「朱々への婚約指輪だよ。 受け取ってくれるよね?」 …この人、何を言ってるの?… 「朱々。君は魅力的だから 他に男がいても当たり前。 でもね、不倫は駄目だよ? 朱々の身を滅ぼすだけ。 この二人の彼は今は君に熱を あげているかも知れないけど 根は超真面目。 今ある家庭を犠牲にして 君のところに来るタイプじゃないよ。」 …キモい。。何でそんなに知ってるの。。… 「朱々、悪いこと言わないから 不倫は切りなさい。 ダサ男も何もないとは思うけど 君のことだから分からない。 パズドラはこれから 俺が相手してあげるからヤツとも終了だ‼」 「。。分かった。もう会わないようにするよ。。約束する。だから」 …景博さんも別れてくれる?… 言い出せない。。でも言わなければ 「じゃあ俺と結婚してくれるね? 明日にでも籍を入れて世の中に 電撃発表だ‼」 「そんなの無理に決まってるじゃない‼」 「清瀬朱々、電撃結婚‼衝撃‼女優引退‼ いいねぇ‼」 影博はひとりで興奮している。 「い、引退しろって言うのっ?」 「朱々の事務所には 俺が頭を下げに行くよ。」 …私がどんな下積みして 女優になったか分からないの?… 「最初から話してるよね? 俺の嫁になる暁には 家庭に入ってもらうって。」 「私が女優引退するわけないじゃんっ‼ この指輪、受け取れないっ‼」 「花は美しいまま散るのが一番いいんだよ? 沢山惜しまれるしインパクトも強い。」 「勝手なことばかり言ってる‼ 私、もう景博さんに追いていけないっ‼」 「俺と別れるなんて無理だからね‼」 「別れるしかないっ‼もう無理っ‼ 店がお世話になった分、時間かかるけど 全部お返しするから。。だから別れて‼」 「そこまで言うんだ?素晴らしいねぇ‼」 ―それは、朱音が清瀬朱々として 女優デビュ―を果たし 一躍注目を浴びて間もない頃。 朱音の両親がそれを知り 急に疎遠だったはずの娘 朱音に近寄ってきた。 焼肉屋肉楽園は借金が嵩み かなり経営が悪化していた。 店存続の為にお金を融資しろと 怖い系人材も使って 毎日のように集ってきた。 朱音は大型新人女優のプレッシャーに 加えて 身の危険とプライベートのスクープに 怯えて過ごさざるを得なく 精神的に厳しい日々を送っていた。 既に自分で立ち上げた IT企業社長だった青山景博は まず熱狂的ファンとして 清瀬朱々に惹かれたが たまたまこのプライベートを 耳にしてしまった。 調べていくと 清瀬朱々の知られてたくない生いたち 環境が見えてきてしまった。 こんな清瀬朱々を助けてやれば 彼女を自分のモノに出来るかも知れない‼ 景博は野望に燃え朱音に近づいて 肉楽園の資金面から経営まで全面的に 面倒をみるようになり店を救った。 お陰で小規模ながらも 今や県内に3店舗構える 焼肉屋レストランチェーンにまで成長した。 景博は朱音の両親に 経営ヘルプの引き換え条件として 朱音との結婚を承諾してもらった。 当然朱音の両親のことだから 不賛成なわけはなく 今すぐにでも朱音をくれてやる 勢いだった。― 「あの時俺がいなかったら 肉楽園なんて今や無いだろうし 朱々もここにいないだろうなぁ。。 怖い人達も来ちゃっていたもんね。 イヤ‼女優清瀬朱々すらいないもね~」 …この人、マジ怖い。。 人のプライベート探りまくって つけ込んで弱味握って楽しんでる。。 何なの… 「ゴメン、私、帰るから‼」 「帰るなんて駄目だよぉ! 今晩は俺たちの婚約記念の儀式を 盛大にするんだよ?」 景博は朱音の頬に手を添えてきた。 「冗談じゃないっ‼」 朱音は景博の手を振り払い立ち上り 即座に玄関に向かった。 「帰さねぇよっ‼朱々っ‼」 景博は力ずくで朱音に抱きついて 寝室に引摺り込んだ。 ベットに押し倒して強く押えつけた。 「イヤ‼辞めてっ‼」 朱音は抵抗するけど 男の力には敵わない。 「朱々ぅ~? 二人の男ともこんなことしてるなんて 相当スキモノだよね~」 朱音は返す言葉が出ない。 「それとも?俺じゃ満足していないって ことかっ?」 景博は更に豹変した。 朱音は猛獣に喰いかかられた獲物の状態で 無駄に逃れようと抵抗し続ける。 「今晩は俺がどんだけ 朱音を愛しているか 一生忘れないようにこの身体に 叩き込んでやるから‼」 「や、辞めてよっ‼」 「俺だけの朱音。。忘れさせない‼」 「辞めて―――――――っ‼」 朱音の悲鳴はもう景博の耳には 聴こえない。。 手荒く引きちぎるように 朱音の衣類を次々に剥ぎ取っていき 噛みつくように 朱音の口唇を激しく奪った。 …コアラ。。た。。大樹。。助けて… もちろん朱音の叫びは 満員の終電の車内にいる大樹には 届くわけがない。 知らない女性が揺れに取られて 大樹にぶつかってきたくらいだった。。 朱音は景博の乱暴な手で強く 全身をまさぐられ、 飢えた獣のような口唇で 肌に跡が残るほど攻め尽くされた。 そして止めどなく、激しく繰り返し 抱き突かれた。 朱音は猛獣に喰われた獲物。。 地獄に堕ちたかのような苦しさ 次第に気が遠くなっていった。。 ※※※ 朱音が気を取り戻した。 悪夢はいつの間にか終わっていた。 果て切った景博が眠っているのを確認して 朱音はベットから抜け出た。 …景博のスマホに 当然私の連絡先が入ってる。 自分のスマホに掛けたら コアラ、出てくれるよね… トイレに持ち込んで切られていた 電源を立ち上げこっそり掛けた。 明け方3時くらいだった。 発信音♪♪♪ 預かっている朱音のスマホが鳴った。 大樹は自宅で眠れずにいた。 ―かげひろ?。。誰?もしかして?― 数回コールで大樹は出てみた。 📱。。もしもし?誰っすか? 📱コ。。。大樹さん? 📱あ‼朱音さんっ? 📱。。うん 📱何処にいるのっ?心配してるべ‼ 📱ヨカッタ。。やっぱ私のスマホ 預かっていてくれていたんだ。。 📱朱音さんっ?何があったの? 大丈夫なのっ?困ってるなら 迎えに行くべっ‼ 📱私は大丈夫。。 でもやっぱスマホ必要だから 朝、日々山公園まで 持って来てもらえないかな? …日々山公園?都心たべ。。 仕事、遅刻しちまうけど そんなこと言ってられないっ‼… 📱行くよ‼日々山公園。 スマホちゃんと届けに行くから安心して‼ 📱ありがとう‼。。。おやすみぃ 可愛い声。。堪らない 📱あっ‼朱音さんっ⁉ 通話は切れた。 大樹は即座に折り返したが 電源が切られていた。 …朱音さん。。何処にいるべ? 本当にダイジョウブなのかな… 朱音は大樹の声を聴いただけで 何だかとても安堵の気持ちになった。 何事もなかったように嫌でも 景博の眠るベットに戻り 背を向けて眼を閉じたが眠れなかった。 夜が明けて。。景博が目覚めた。 「朱々。。傍にいてくれてヨカッタ。 いなかったらどうしょうと思ったよ。」 背後から朱音の身体を抱きしめてきた。 「。。シャワー借りるっ。。」 朱音はその腕を振り払い 背を向けたまま起き上がった。 「朱々、ゴメンね? 夕べやり過ぎちゃったね。 俺、今日は仕事にならないかも‼ 君の綺麗な背中に俺の愛の証が 残っちゃってるよ。いいねぇ‼」 朝からまた景博の笑いは不気味だ。。 「暫くは肌を露出する撮影はないから いいようなもので。。 こんなことするなんて最低‼ もう許せないっ‼」 「まぁ、最低はお互いさまじゃないかな? その割に夕べの君は気まで失うほど 陶酔に陥っていたように感じたけど? やっぱスキモノなんだね。」 「辞めてっ‼もう辞めてよっ‼」 朱音は汚ないモノを見るような目線で 景博を睨んだ。 …何だよ?その眼は。。 そんな眼で俺を見るなんて‼ 今までなかったじゃないかっ‼… 「じゃあ警察に通報する? IT企業社長に強姦されましたって 構わないよ? 俺も君のこと全部世間にばらすから」 「通報なんてしないよ。。 こんなこと何処にも誰にも 言えるわけないじゃん‼ だけど景博さんとは二度と会わないからっ‼」 …。。やっぱりこの人との間には ひとかけらも愛はなかったんだもの… 「シャワー浴びたら即帰っていいからね。 淫乱スキモノ女、清瀬朱々。近藤朱音。」 景博は冷ややかな目線で 朱音の背を見つめながら吐いた。 ※※※ 朝霧が立ち込める日々山公園 都心の真ん中にあるのに 空気は清々しくて 気持ちよさそうにランニングしている 人たちの姿も見受けた。 朱音は、ひとりブランコに乗って 揺られていた。 …私。。。ボロボロだ。。 淫乱スキモノ。。 汚ない女。。 自分が堪らなく気持ち悪いよ。。 でも自業自得なんだよね。。 いつの間に。。何でこんな自分に なっちゃったんだろう。。… 涙が溢れてきた。 …本当にあの男と別れられるのかな。。 何かヤバイことして来なければいいけど… 朱音の表情は、曇っていた。 「あっ‼朱音さ――――んっ‼」 男の呼び声がした。 スーツ姿の大樹が朱音を見つけて 此方に駈けて来る。 …コアラ―。。大樹。。さん… 朱音はブランコから降りて 大樹の傍に向かった。 「もうっ‼何処に行っちゃってたの‼ 心配で俺、一睡も出来なかったんだべっ‼」 「ゴメンなさい。。」 「警察に相談しょうにも 君の立場を考えたら出来なくて でも無事でヨカッタすよ‼」 「本当にごめんなさい。。」 「はい、スマホ‼ 着替えもちゃんと預かっていたべ‼ 大丈夫だべっ‼」 朱音に手渡した。 …私が。。大丈夫じゃない… 「。。ありがとう」 「俺、会社行かなきゃならないから またね‼」 「待ってっ‼」 「うん?」 「ゴメン。。」 「どうしたべ~?」 「。。。コアラーの胸貸してっ‼」 「えっ?」 朱音は、不意に大樹に抱きついた。 「あ。。あか。。?」 大樹は、驚いて手にしていた ビジネスバッグを ドサッと地面に落とした。 「。。ちょっとだけ、こうしていて」 「。。い、い、いいっ。。すよ?」 …あ、俺、朱音さんと 朝から大接近遭遇。。 俺、寝ているのか? 夢か?いや現実だべ… 大樹がそっと手をまわすと 朱音のその背中は小刻みに震えていた。 やっと息をしているようにも感じる。。 …朱音さん。。何があったべ。。 余程何かあったんだべ。。… 大樹は、分からないけど何かを感じとり 慰めるようにそっと朱音の背中を さすってあげていた。 朱音から何ともいえない 女のいい香りがする。。 …君は。。やっぱ誰かのものべか… 大樹はやり場のない 苦しさにかられながら 硬直していた。 「やっぱコアラ―じゃ駄目―――――っ‼」 途端に朱音は叫んで大樹を引き離した。 「は――――っ???」 大樹は呆気に取られた。 朱音、身長163㎝ しかもピンヒールを履いていた。 大樹、身長160㎝ 朱音が大樹の胸を借りるんじゃなくて 朱音が大樹を抱きしめる形となっていた。 それに気づいてしまった‼ 「コアラーじゃ全然胸借りられないねっ‼」 朱音は、うって変わって ケラケラと笑ってきた。 「しっ‼仕方ないべっ‼朱音さん、 そんな高い靴履いてるしっ‼」 「チビコアラ―‼身長伸びたら 本命にしてあげるからねっ‼」 「チ?チビコアラーッ??」 朱音は急に吹っ切れたような 満面の笑みを見せた。 それは朝陽を浴びてより眩かった。 「朱音さ~んっ‼ 今さら俺の身長は無理っすよ~‼ スィートルームより無理っすよ~‼」 朝陽差し込む公園。。 嬉しそうに弾んで走る朱音を 大樹が楽しそうに追いかけてた。
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