story8:大樹、男になる⁉

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story8:大樹、男になる⁉

大樹が生まれ変わってきた? 通勤に今までは紳士服量販店まとめ買い 着古したスーツだったけど、 店員見立てのセンスあるスーツを購入、 着用して出勤するようになった‼ ヘアスタイルは変わらないけど サラリーマンに差しつかえない程度の オシャレ染めを施し 嫌味のない柔らかな雰囲気となった。 …大樹っ‼まさかアノ彼女と?… 一矢はこっそりと広美に訪ねた。 「だよね‼大樹、変わったよね‼ 何かそこそこ上手くいってるらしいよ? 詳しくは分からないけど」 「パズドラ以上になっちゃったってこと? あんな凄い人と。。相手は女優ですよ?」 「まぁ上手くいってオシャレになるのは いいことじゃないの‼」 大樹は今までは仕事終業後 やたら一矢や裕貴を呑みに誘っていたけど 最近は即座に帰るようになっていた。 ※※※ 今宵はほほえみ不動産不定期恒例 鍋パーティの日。 「今日はな‼魚長さんから茨城直送の アンコウが届くぞ‼アンコウ鍋だ‼」 会長銀次郎のはからいで 鍋の材料アンコウが届くという。 「へぇ~っ‼アンコウ鍋、凄~い‼」 「食べたことないかも‼」 「肝とか白子も旨いんだよな‼ 身自体もコラーゲン入ってるし‼」 「コラーゲン、メチャいいね‼」 広美、美穂女子二人、眼が輝く‼ 「あっら~嬉しいねぇ‼ 80歳の私がが20代になったら どうしましょ‼」 会長夫人ひさよも眼が輝く。。 なれたらいいのにね‼ 「カケさんからも缶ビールと酎ハイ ポン酢が届いた~‼」 「毎度、有り難いスポンサー‼」 「準備万端だね‼」 一同、準備を進めながら盛り上がった‼ 「すんません。今日は先に失礼します。。」 大樹が帰ろうとした。 ―えっ―――――――っ⁉― 一同、カミナリが落ちたくらい驚いた‼ 「今日はカケル来るよ⁉」 「大樹、具合でも悪いのか?」 「イヤイヤ、用事あるんで。 また次回お願いします!ゴメンさいっ‼ カケさんにヨロシクお伝えください‼ では失礼しますっ‼」 大樹は、出ていった。 「何か最近即座に帰るよね。。」 「デートかな~?」 「でも毎日デートはあり得ないでしょ~」 何だろうね。。 やがて駆がやって来た。 「へぇ~?大樹、帰っちゃったのか⁉ 珍しい‼」 「最近、何だか即座に上がるの。。」 「まぁ彼女ともパズドラ仲良く やっているみたいだし そういう日もあるんじゃない?」 「二人は何処までいっちゃってるの? パズドラ以上になっちゃったの?」 「二人ともあえて言って来ないんだな。 チャンスがあれば何気に探ってみるよ‼」 アンコウ鍋パーティ。美味しいけど。。 適当に会話は弾むんだけど 大樹一人いないだけで いつもと全然違っていた。 駆は気を遣ってギリギリの線で グループのハリケーンや芸能界の裏話など 暴露して盛り上げてくれるけど くだらなくても弾丸で喋る大樹が いないだけで だいぶ静かな鍋パーティとなった。。 ―仕方ないけどこんなに違うものなんだね。。大樹って存在感があったんだね― 宴の片付けをしてお開きになった。 広美と駆、一矢で一緒に不動産を出た。 3人はコンビニで買い物してから 帰ろうかとなって 少しだけ回り道をしてコンビニに寄った。 コンビニを出てから チェーン店居酒屋酒呑童子 の前を通りかかった。 「もう一杯だけ行っちゃおうか?」 駆が言い出した。 一杯じゃ終わらないけどね~ 「そうだね‼この3人で呑んだことないよね?」広美も乗り気‼ 「行っちゃいましょう‼ カケさん、明日はそんなに 早くないですもんね‼」一矢も賛成‼ 「チョット遅いけど、南波さんも 呼んだら?」 「だよね‼会長夫人が苦手で 鍋宴は遠慮しちゃってるからね。」 「あ、南波は今夜、会社の仲間と 飲み会って言ってたから 今更いいんじゃないかな。」 その時だった‼ 「ありがとうございました―っ‼」 威勢のいい男性店員の声と供に 客が4人出てきた。 「気をつけてお帰りくださ―い‼ またお待ちしてま―す‼」 客を明るく見送るこの男性店員。 …ひぇ――っ‼た‼たいっ‼大樹っ???… 3人と大樹、鉢合わせになった‼ 大樹も眼を見開いて驚いた‼ 大樹は頭にハチマキを巻いて 居酒屋の作務衣のユニフォームを着ていた。 「た、た、大樹っ?何してるんだ?」 一矢が大きな声で呼び掛けた。 「バイトに決まってるじゃないすか~♪」 大樹はあっさりと返事してきた。 「ヨカッタら一杯呑んで行ってくださいよ?今、丁度はしご酒呑み放題60分 1500円キャンペーンやってますから‼ 通常は1800円プランっすよ‼ お客様~こんな夜、滅多にないっすよ~ いらっしやいませぇ―‼ ご新規様‼3名様、入りま――――うす‼」 ほほえみ不動産営業成績ナンバ―1大樹‼ といっても営業マンは一矢と二人だけど。 3人は有無もいわされず 大樹に上手に店内へと引き込まれた。 3人ともお腹は膨れているので飲み物と、 さっぱりした漬物などのオツマミを数品を 選んで注文した。 大樹は忙しそうに、なかなか楽しそうに テキパキと動いていた。 やたら声を掛けられる状況ではない。 追加飲み物を持って来たときに 駆が話しかけてみた。 「大樹、ここで何時まで働いてるの?」 「え?夜の8時から閉店の深夜1時まで。 片付けあるから帰るの2時近いべな~‼」 「ほぼ毎日か?大丈夫かよ?」 一矢が心配する。 「大樹、昼間だって営業や内見で 出回っているのに。。身体もたないよ?」 広美も心配する。 「大丈夫っすよ~‼結構この仕事 楽しいんすよっ‼」 大樹は笑顔だがやはり疲労の色は 隠せていない。。 でも何か似合っているかも‼ 「スミマセ―ン‼ビールとハイボール 頼んでいるけど、まだ―?」 「ヘイッ‼只今っ‼」 他の客の呼び掛けで忙しそうに 大樹は3人の席を離れた。 …大樹。。夜も働いているなんて。。 大好きな皆との呑みも付き合わずに 朱音ちゃんとの付き合い そんなに大変なのかな?一体どうしたの?… 3人供、呑み直しをしながらも 大樹が心配でならなかった。 ※※※ そうそう会えないけどやっと来た‼ 大樹、今日は朱音と 楽しいパズドラデートの日だ‼ 朱音リクエスト 三つ星イタリアンでデイナーの後、 着替えてマン喫に行くはずが 朱音は、今日は静かなバーラウンジに 行きたいと言い出した。 「コアラーに聴いてもらいたい話が あるんだ。。」 朱音はチョット深刻そうな表情だった。 「いいべ~‼ バーラウンジも行きたいべな~‼」 …そ、そのあとホ、ホ、ホ~テル来い♪ イヤ‼俺は紳士を貫くぞ―――――っ‼… 高級ホテルの上層階 ムードあるバーラウンジに二人は入った。 …また真っ暗な店だべ。。 メニューリストの文字、見えねぇ。。 別に老眼じゃねぇけど文字小っこ過ぎだべ… 大樹が困っていると 「実は。。私も殆ど銘柄なんて 分かってないの‼ 自分の好きなワイン、カクテルだけ。 困った時はありきたりのビールか お薦めにするんだよっ‼」 朱音が耳打ちしてきた。 「あ、あぁ無難な線だべ?」 …今日の朱音さんは以外なこと言うなぁ… 大樹は内心驚いた。 その時、朱音のスマホに着信が入った。 「チョット、ゴメンなさい。。」 朱音は店外に出た。 こないだみたいに 朱音がまたいなくなったら 大変だと思った大樹は コッソリ後を追って 視覚に入らないところで耳を澄ませた。 密かに人の電話聴くなんて …何か。。俺、イヤな男だべな… 📱「ゴメンね。今、そっちに行く 予定ないの。」 。。。相手と会話中。。。 📱「私。。彼が出来たんだ。。」 …ひぇ――――っ‼また彼が出来たべか⁉ 何人め?俺、何番めだべっ?… 。。。相手と会話中。。。 「沫森君なら、もっとふさわしい 素敵な人に逢えるって‼ 今までありがとねっ‼」 …別れの電話だべかっ‼… 。。。相手と会話中。。。 「もぉ‼泣かないでよぉ。。」 …これ以上聴いちゃダメだべっ‼… 大樹は何事もなかったように店内に戻った。 📱「私、仕事辞められないし そっちには住めないし ゴメンなさい。 いい思い出にしたいの。。」 遠距離恋愛、遥か南の島の彼との お別れの電話だった。 …聴いてヨカッタのか、悪かったべか、 どうするべ?… 暫くして朱音が戻ってきた。 「ゴメンね‼」 「。。イヤ、ダイジョウブっすよ‼」 大樹、平然を装うしかない。 …ひとりはナンとか終わらせた? これからが本題なんだけど。。… ―朱音は、青山景博とも別れを決めたけど 景博は途端に態度を変えて 再び朱音に接近しているのだった。 「あの日の俺はどうかしていた。 朱々にあんな野蛮な行為を。。 罪を償いたいんだ。 だからもう一度やり直してくれないかな。。」 景博は、懇願してきていた。 「結婚も君がその気になるまで待つよ。 女優業も落ち着いたら復帰してもいい。」 何処までが本心なのか分からない。。 朱音は、あの日の恐怖心にかられて 二人で会うのを避けていた。― 「ゴメン、コアラーには嫌な話だと思う。 コアラーに話聴いてもらいたいんだ。 私、コアラーは間違いない人だと 思っているから。。」 朱音は生々しい内容までは話さないけど 自分の生いたち、育った環境から 景博との馴れ初め、 今の状況まで正直に語った。 …さっきの電話、別れの電話 今、聴いてるのも別れ話。 同一人物べか? イヤ、違うべ‼別人だべ―――‼ 朱音さんをとりまく男がどんだけ――っ。。 でも俺の力で少しでも朱音さんが 救われるならば助けてあげなければ‼… 「俺、よく分かんないけど 彼は朱音さんのことは ちゃんと愛してると思う。 じゃなきゃ実家の焼肉屋の ヘルプなんて簡単にしないと思うべ。 何処かで二人の歯車が狂ってしまったか、 その彼はそれが愛情と思ってるかだべな。」 …俺、何か格好いいこと言っちゃったべ?… 「彼には実家の店のことでは 本当にお世話になったし そのことは感謝してるんだ。 でも、もう無理なの。。」 …本当の幸せを求める相手ではないと やっと気づいたの… 「彼はやり直したいって来てるべか」 …そりゃ、ドイツもコイツも簡単に 清瀬朱々を手離したくないべな… 「今夜、このあと彼と会う約束してるの。 私はケリをつけようと思う。 コアラー、一緒に来てくれない?」 …何だってぇ―――――――――――っ? そんな次々に別れるなんて どーいうことだべぇ――――?… 「私の新しい彼になったことにして 欲しいの。」 「い、いや、朱音さん‼ ぶっちゃけソレは無理っす。 ゴメンなさい。」 「どうして?」 「。。コイツとあり得ねぇって 思われるだけっすよ?」 大樹は苦笑いした。 「コアラーだから、お願いしてるの。。」 「朱音さんなら他にもお願い出来る 男友達とかいるんじゃないべか?」 「いると思うでしょ?。。。いないんだ。」 …他の相手は不倫だから無理。 たとえ沫森君でも遥か南の島の人だし… 暫く沈黙 「やっぱさ、そういうの 二人だけで話すべきだべ。」 「あの人の怖さ、分からないもんね。。」 …そんなヤバイ奴なんだ。。… 「じゃあ俺、陰から様子見てるべ‼ ヤバかったら助ける。それでどうっすか?」 …いざ助けるなんて俺に出来るべか?… 夜景の綺麗な小台場公園に行った。 ビル群や高速道路の灯りが綺麗に揺らめく デートスポット。 ここで朱音は景博と待合せという。 彼を待つ朱音の姿は女優そのもの ドラマか映画のワンシーンのよう。。 絵になっている。 大樹は少し離れた植え込みの中に 潜んでしゃがんでいた。 モロ怪しい男だな。。 やがて長身の男が現れ朱音に近づいてきた‼ …コイツが彼ってヤツか。。… 二人は会話をし出したようだ。 …暗くてハッキリ分かんないけど あの男何か見たことあるべな。。… 大樹は息を潜めて見ていた。 別れ話が本格的になったようで 男の声が大きくなっていった。 「朱々っ‼もうあんな野蛮なことは しないから、俺のところに戻ってくれっ‼」 「この肩の跡、アザになってるでしょ‼ 許せないよっ‼半ば強姦だもの‼」 左肩の跡を見せているようだ。 …この男、朱音さんに酷いことをしたべか‼ 何てことだべっ… 「警察に言うのか。。無駄だね。 俺たち合意はしてる仲なんだからね。 根掘り葉掘り事情聴衆されて 君が傷つくだけだ‼」 男は高笑いした。 「言ったでしよっ⁉ 警察には言いません。 でも私は、どうしたって 景博さんとは結婚出来ない。 だから別れて‼ 別れてくれたらいいのっ‼」 …この声。。高笑いっ⁉… 大樹は、思い出してしまった‼ …就活で受けたIT企業の社長 面接官じゃないべかっ‼… 「君、IT企業向けのキャラじゃないね‼ その顔で受けに来たの? ウチの会社はイメージも 重視してるんだよ‼」 高笑いされたのと同じじゃないかっ‼ 確かに群馬県で生まれ 地元でどっぷり育ち 県内の大学卒業予定で 東京に出てきたから 垢抜けてはいないけど そこまで言うかよ? (群馬県の方、ごめんなさい‼ あくまでも大樹個人の イメージ作りでございますm(__)m) それなのに何故か内定決定の通知が 届いたけど別書面が同封されていて 【入社までに弊社blue‐mountainの イメージに見合った改善をして頂きますよう お願い申し上げます。】 と書かれていた。 何じゃ‼こりゃっ‼怒 だったら落とせばいいじゃねぇかよ‼ オメェの部下になんかなりたくねぇべっ‼ 誰がこんな会社に入ってやるかっ‼― 普段、怒ることのない穏やかな大樹が 怒り狂い内定を断った。 そしてその侮辱に一生モノの傷を負った。 親親戚は訴えようかとなったけど 大樹は自分が入社しなきゃいいんだからと 宥めて収めた。 …ま、ま、まさかっ。。朱音さんの彼が blue‐mountainの青山だとはっ… 大樹、冷汗が吹き出した。 …朱音さんっ‼コイツはダメだべっ‼ ロクなもんじゃねぇべ‼ 別れろっ‼… 植え込みの中で仕切りに呟いていた。 しかし大樹、途端に鼻がムズムズしてきた。 …ヤッベェ。。クシャミ出る‼ んあ~んあ~… 必死に押さえ込もうとしたけど 「ブェ――――クションッ‼」 親父如き大豪快なクシャミと供に 飛び上がった大樹 植え込みから転げ出てしまった‼ 「誰だっ?」 景博が思わず視線をやった。 …コアラー、やっぱクズコアラだよ‼… 朱音は吹き出してしまった。 「何だ?お前、朱々の追っかけか? 覗いてんじゃないよ‼全く」 景博は、場所を変えよう言わんばかりに 朱音の手を引こうとしたが振り払われた。 大樹は立ち上りついに⁉男になる‼ 君のために男になるぞっ‼ 「あのっ‼blue‐mountainの 青山さんっすよねっ?」 景博に詰め寄って行った‼ ―コアラー‼何で彼の名前を。。― 朱音は驚いた。 「あぁ。私はblue‐mountainの社長の 青山だけど、何か?」 振り向き様その姿は威厳があって 悔しいけど格好良い。 「昔、アンタに侮辱されて内定蹴った 群馬の大学生だべっ‼ 覚えてないだろうけど‼」 …コアラー‼景博と接点があったのっ?… 朱音、ブッ飛んだ。 「毎年沢山受けに来るからねぇ。。 悪いけど覚えてないな。 ウチの内定蹴ったなんて凄いね、君‼」 「アンタの下でなんて絶対働きたいと 思わなかったから正解でしたよ‼」 「で?誰?まさか朱音の彼氏のひとり なわけ?」 「そうっ‼私の新しい彼氏だからっ‼」 咄嗟に朱音が言い出した。 …ひょ―――っ‼それ待って、朱音さんっ⁉… 「そういや朱々が、こないだリッツ.かネイルで一緒だったヤツか、君。。 マン喫もだな。」 「そうだよっ‼コアラーは景博さんと 全然違うっ‼ 優しいし私を大事にしてくれてるもん‼」 朱音、今までにない反抗的態度‼ 「朱音も落ちぶれたもんだね‼ こんなダサ男とねぇ」 景博は愉快そうに笑った。 大樹、怒りの炎、再燃焼‼ 「朱音さんと別れてくださいっ‼ アンタみたいな最低なヤツじゃ 朱音さんが可哀想だ‼」 「で?俺が朱音さんの彼氏に なりますってか? 似合わないねぇ~‼ 分かってる? この女、有名女優の清瀬朱々だよ?」 長身の景博、大樹を見下す。 「俺なんて朱音さんの彼氏になんて なれないのは分かってるべ‼ パズドラ友達でいい‼ 俺は朱音さんを守れるだけで 充分だべっ‼」 …コアラー、格好いいっ‼ 私涙出そうだよぉ。。… 「友達でいいの?まさか君、 チェリーボーイのままとか?アハハッ」 「ぐっ、群馬だってサクランボ作ってるべ‼」 大樹、わざと話をはぐらかす。 …コアラー‼まさかチェリーなのっ?… 「はぁ?意味が分かってないのか? じゃあ朱々がどんな女か 教えてやる必要ないか」 「何が言いたいんすかっ?」 「朱々にチェリー奪ってもらえばいいよ? この女、上手だよ?スキモノだから」 「いい加減にしろ――――――――――っ‼」 大樹は、長身の景博に飛び掛かったが 危うくサッと避けて大樹は、 前面から地面に倒れ込んだ。 「コアラ―‼ダイジョウブッ?」 朱音は、大樹を抱き起こした。 「俺はいいっ‼ 朱音さんを傷つけるな―っ‼」 「互いに障害事件は起こしちゃ 駄目だよ‼ 朱々の両親は金に飢えた クソ豚で超アホ‼ 人間のクズだけど 殺人までは犯さなかったから 朱々を助けてやった。」 …大嫌いな親だけど そこまで言われたくないよっ‼… 「これ以上朱音さんを傷つけるな―――っ‼」 「朱々もかなりヤバイ女だけどなぁ? コレも言っちゃっていいのかなぁ?」 「朱音さんはそんな女じゃないっ‼ アンタに狂わされたんだべっ‼」 …俺は欲しいモノを手に入れるには 手段は選ばない‼ とにかく俺だけのモノになればいい‼ すべてを思い通りに操れるだけでいい。 世間の俺を見る目が違えば それだけで満足。 。。って俺が清瀬朱々に近づいた 理由ってのはそれだけだったのか。。 何で?いつの間にそうなっていたんだ? 朱々に出会った時は ちゃんと恋していたハズなのに。。… 影博は我に返り 凍りつき一瞬怯んだ。 …コアラー。。私をそんな風に 思ってくれてるなんて… 「アンタッ‼本当に人間のクズだっ‼ よくも自分の彼女のことをそこまでっ‼ 俺はクズコアラだけど 何かあったって彼女のこと そんな風には言わねぇべ‼」 …何でクズコアラも知ってるのぉ⁉… 大樹は、再び拳を握り 景博に飛び掛かった。 「辞めてぇ――――――っ‼」 朱音が叫んだ。 景博は、まるで戯れてきた子供を 扱うかのように 振りかざしてきた大樹の拳を 簡単に阻止した。 「悪いね、俺、学生時代 ボクシング部だったんだよね。 無駄な抵抗したら死ぬよ?」 静かに大樹を振り払った。 「畜生っ‼」 大樹は再び地面に伏せて叫んだ。 …なーんて、やっぱ俺は恋愛より ビジネスなんだよな‼ 相手が清瀬朱々じゃ 俺の夢は叶わないや‼… 「朱々、これで決めることが出来たよ。 実はパナトニックの社長令嬢と 縁談があってね。 ビジネス絡んでいるから断り辛くて、 とにかくスキャンダルが嫌だから 朱々との関係は困っていたんだ。 俺の出世の邪魔にしかならない。 俺の望みは黙って家庭に入ってくれる女。 どっちにしろ朱々は条件外の女だった。 やらせてはくれるけど金かかる 面倒臭え女でさ‼」 「。。ひ。。酷いよ。。影博さん。。」 「アンタッ‼地獄に堕ちるべっ?」 …ここまで言わないと俺の気持ちに ケリがつかねーんだよ‼ やはりこんなに愛しているのに。。 この俺が‼この俺がだよ‼ 何をしても清瀬朱々を 捕まえることが出来ないなんて。。 堪らなく悔しいんだよ‼ でも、いいや‼ 今の俺は世界一の企業が 手に入りゃいいんだから‼… 「朱々。もういいや‼ 君の望み通りにしてあげるよ。」 …やっぱりアンタはロクでもなかった… 「だから朱々はパズドラでもしながら 楽しくやっていけばいいよ。 そして肉楽園のことは慰謝料と 思ってくれていい。返すのは辞めてね。 朱々、何も心配しなくていいからね‼ これで、おしまい。」 影博は、微笑んでいた。 「君、名前は忘れたけど 何か思い出したわ。 もしウチに来てたら 俺の片腕になっていたかな? 残念だよ。」 「ワケ分かんねぇっ‼ そんなこと言われたかないべっ‼」 「ってなわけで常に俺は女には 不自由してないし こんな女、いくらでもくれてやるよっ‼」 捨て台詞を吐いて影博は立ち去った。 ※※※ 「朱音さん。。ダイジョウブっすか。。」 「何で?クズコアラなんて言うの。。」 二人は互いを支え合いながら立ち上がった。 「え?朱音さんにコアラーって 言われた時に 自分でクズコアラだって思ったっすよ~?」 大樹は、ケラケラ笑った。 「全然、クズコアラじゃないよ。。」 …私を守ってくれた。。 そして私をしっかり捕まえようとしている 男だよ。。… 朱音は呟いて大樹の腕に しっかりしがみついた。 …たて続けに二人の男と別れて 俺なんかでいいべか。。? さっきの電話で言ってた 彼が出来たってのは。。… 大樹は、コアラのように 腕にしがみついてきた朱音が 堪らなく愛おしくなった。。 このまま抱きしめようと、 そっと手をまわそうとした。。 「イヤっだ――――――っ‼」 朱音か叫んで大樹の腕から離れた。 「えぇっ?何よ?」 「何で私がコアラみたいに クズコアラーに抱きついてんのっ‼」 「朱音さんっ‼やっぱ俺のこと クズコアラーって思っているんすねっ?」 大樹はチョットふて腐れて口をとがらせた。 「アハハッ‼どうかなぁ~」 朱音は意味深な笑いをした。 「ねぇ?気分直しにパズドラやりに行こっ‼」 朱音は大樹の手を取り引っ張った。 「ヨッシャ―‼今日はオールナイトだっ‼」 二人は、はしゃぎながら 夜の街中に消えていった。。
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