*柊*

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*柊*

4cf42d66-f292-4c84-8d1a-f584944ba12e(画像は勇魚さんからお借りしています。) 夜の帳が降り、家々の灯りがキラキラと光っている。 あの灯りの下…。その数だけ幸せな家族がいる―――そんな当たり前な出来事に僕は哀しくなってしまう。 去年までは当たり前だったその温もりを、今はもう僕は手にすることが出来ないのだから。 だから、僕はそっと灯りに向かって手を伸ばす。酷く冷たいこの手が、少しでも温まればいいとそう願いながら。 手に入らないことは知っていた。 その仮りそめの灯りに心が寂しくなるとわかっていた。 でも。僕は――――。 手を伸ばさずにはいられないのだ。
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