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*柊*
(画像は勇魚さんからお借りしています。)
夜の帳が降り、家々の灯りがキラキラと光っている。
あの灯りの下…。その数だけ幸せな家族がいる―――そんな当たり前な出来事に僕は哀しくなってしまう。
去年までは当たり前だったその温もりを、今はもう僕は手にすることが出来ないのだから。
だから、僕はそっと灯りに向かって手を伸ばす。酷く冷たいこの手が、少しでも温まればいいとそう願いながら。
手に入らないことは知っていた。
その仮りそめの灯りに心が寂しくなるとわかっていた。
でも。僕は――――。
手を伸ばさずにはいられないのだ。
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