3話

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私の両親も、昔からずっと仲が良い。 『朱音、大きくなったらパパと結婚する~』 『その気持ちは嬉しいけど、パパにはママがいるから無理だな~』 『え~!ママズルい!!』 『そんなにむくれないの。朱音にも将来きっと、パパみたいな素敵な男性が現れるわよ。』 『本当?!パパみたいな人と朱音も結婚出来る?』 『出来るわよ。だって朱音は、パパとママの可愛い娘なんだから。ちゃんと朱音の事を大切に愛してくれる人が現れるわ。』 昔、そんな会話を両親とした事がある。 娘の前でも臆面もせず仲良しで、普通なら万年恋人夫婦なんて呆れるのかもしれないけど。 私はそんな両親にずっと憧れてた。 いつか、私にもそういう男性が現れるんだって。 あんな風にずっとお互いを大切に思って愛し合える夫婦になりたい。 それが私の夢だった。 だけど… 「…かね!朱音ってば!」 「え…あ、おはよう、莉菜。」 「おはようじゃないよ、もう。さっきからずっと呼んでんのに。ボーっとしてどうしたの?」 「…ちょっとね。」 全然莉菜に気付かなかった。 いつから居たんだろ。 「と・こ・ろ・で!一昨日あの後どうだったの?!」 「あの後?」 「ほら、合コンの後一緒に帰った人いたじゃん!どうだった?」 「どうって…別に。」 「え、何も無かったの?」 「あるわけないじゃん。」 「あ~、まあ、あの人じゃね…人畜無害ないい人そうだったし、お持ち帰りとか出来なさそう。折角こんな可愛い女子大生と2人きりだったのに。勿体ない。」 勿体なくは無い。 そういう、ヤるのが目当てみたいな男がいるから合コンが苦手なんだし。 それにしても、やっぱりあの人は莉菜の目から見ても”いい人”って印象なのか。 「で、そっちはどうだったの?」 「ん~?普通にカラオケ楽しんで、連絡先は一応交換して帰ったよ。でもまあ、無いかな。」 「何で?あんなに盛り上がってたのに。」 「だって自慢話が多すぎる!」 「なるほど。」 「ああいうタイプは自分の事しか見えてないからね~。ちょっと無理。」 そうなんだよね。 男の人が恋愛対象とされない理由にも色々あるんだよ。 ”いい人”だけがそうじゃない。 「はぁ…」 あんな事言っちゃったけど、大丈夫なのかな。 適当な付き合いしかしてないのに、私。 ここがダメとか言えた立場じゃないっつーの。 ていうか、私の方がよっぽどダメだし。 でも、諦めて欲しくなかったんだよ。 同じ夢を持っているあの人に。 だから、私に出来ることは協力したいって思った。 それに、変わることで本当にうまくいくのか確かめたい。 もしあの人が幸せになれたら…私も変われるかもしれないから。 …なんて。 こんな打算的な考えだからダメなんだよね、きっと。 あの人が幸せになれたとしても、私もそうだとは限らないし。 それに… もうあの夢はとっくに諦めたんだから。
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