6話

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6話

高校2年生の時、初めての彼氏が出来た。 1つ上の先輩で、委員会が一緒になったのがきっかけで仲良くなった。 良く言えば人懐っこい。 悪く言えばチャラい。 そんなタイプ。 今思えば、女子にだけ優しくしていたような気がするし、女性関係の噂も少しは聞いていたような気がする。 だけどあの時の私は、先輩の一面しか見えて無かった。 だから、人懐っこくてちょっと可愛い所や優しい所に、惹かれてしまったんだと思う。 片思いが続くんだと思っていたのに、12月になった頃突然、先輩に付き合って欲しいって言われた。 すごく舞い上がったし、嬉しかった。 だって、好きな人に告白してもらえるなんて夢みたいだったから。 元々派手めな顔立ちで、あの頃から遊んでると誤解されることが多かったけど、正真正銘先輩が初めての彼氏。 キスどころか、男の人と手を繋ぐのも初めてで。 スキンシップ多めな先輩とのデートは、いつもドキドキが止まらなかった。 先輩の事が好きだったし、先輩も私を好きだと思ってた。 だから、先輩の為にお弁当作るのも頑張ったし、デートの時にちょっとでも可愛く見られたくて、色々な雑誌を読み漁ってはメイクやヘアアレンジの練習をしてた。 デートの前には、お母さんに何度も何度も変じゃないか確認したりなんかして。 恋する女の子全開だった。 でも…先輩は違った。 付き合い始めて2か月頃、先輩の誕生日があった。 プレゼントを渡そうと思って学校で先輩を探していたら…非常階段で見つけた彼は、別の女の子とキスしてた。 多分相手は、先輩の同級生。 結構派手めな人だったことだけは記憶に残ってる。 その後当然、私は先輩を責めた。 だって先輩は私の彼氏なんだから、浮気以外の何物でもないでしょ? だけど。 あの人は悪びれることなく、私に笑顔で言った。 きっと一生忘れられない、最低な言葉を。 『見た目派手だから遊び慣れてるんだと思ってたのに、君って意外と重いよね。処女だったのも予想外だったな~。ちょっと期待外れ。俺ね、そういうの無理なの。女の子とは楽しく遊びたいんだよね。だから、君とはこれでおしまい。じゃあね。』 あまりのショックに涙すらその場では出なくて。 その後どうやって過ごして家に帰ったのか、よく覚えてない。 先輩が私の見た目で近寄って来た事、好きでもなんでも無かった事、それを見抜けなかった事、そんな先輩に大事な初めてを全部あげてしまったこと… 悲しさと悔しさと怒りと後悔と… 色んな感情が混ざって、1か月後に先輩が卒業してしまうまで、私は家では毎日のように泣いてた。 そんな私を両親が心配しているのは感じていたけど、こんなこととても話せなかった。 じゃあ見た目通りなら好きになってもらえるの? 先輩が卒業した後そう思うようになって、遊び目的の男の誘いに乗るようになった。 だけど、ヤることが終われば興味を無くしたように離れて行く男ばかりで、虚しさしか無かった。 自棄になっていただけなんだと思う。 だって、本当はどこかで分かっていたから。 そんなことで、私を好きになってくれるわけないって。 でも、あの時はそうしないと納得できなくて。 見た目と一緒でも駄目。 見た目と違っても駄目。 だったら私はどうすればいい? 傷付くだけなら、もう恋なんてしたくない。 もう2度と、誰の事も好きになったりしない。 そう決めた時、小さい頃からの夢も諦めた。
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