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原田が女性用トイレに駆け込もうとした時。
仲間の警備員がドヤドヤと駆けつけて来た。
「ど、どうしました?! 原田さん! パンダが現れて従業員を襲ったって聞いたんですが、そ、それ、ホ、ホントですか?!」
「あ、ああ……、らしいんだが、俺もこの目で見たわけじゃあないんだ。」
まだ半信半疑の原田の態度にまだこの場に残っていた女性従業員がキレた。
「何、そんな悠長なこと言ってるんですか!! 嘘なんかじゃありません!!
この目で見たんです!! あのいやらしい目つきに不敵な笑い!!
思い出すだけでもゾッとする。
これからは、パンダを見るたびに今日の事思い出すちゃうぅぅ〜〜。」
その女性従業員は跪き、目はウルウルと涙で覆われていた。
パンダに抱きつかれた恐怖から、完全に精神錯乱状態だ。
「だ、大丈夫かね?」
原田が気遣って、その女性に近づこうとした時だ。
「ああ!!、い、今、何か通りましたよ!デッカい黒い影が!!」
警備員の一人がその影が見えた方に向かって走り出す。
他の警備員も続く。
原田も最後に続く。
「パ、パンダが……、大っきなパンダが……。」
女性従業員のショックからの呟きが原田の背中越しに聞こえてくる。
だが、警備員たちはそんなことは御構い無しに大きな黒い影を追う。
「い、いたぞ!! あそこだ!! 」
だが、既に照明をほとんど落としたアウトレット内。
影の主がパンダなのか、判別不可能だ。
それでも、警備員たちは必死に追う。
ドドドドドドドドーーーーーーーーーー!!!
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