5. パンダ、喫煙!?

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「で、でも原田さん、ちょっと暗くてどうやってタバコを握ってるか見えないっすよ。」 そう言いながら、その警備員は慎重にパンダに近づいて行く。 ゆっくりと、恐る恐るだ。 「お、おい!き、気をつけろ!何をするか分かったもんじゃない。 あの巨体だ、襲いかかられたらただじゃあ済まんぞ!」 原田は心なしか腰が引けている。 「お、おい、誰か、格闘技経験のある奴はいなかったか?」 警備員の一人がそっと手を挙げた。 「じ、自分、学生時代は空手を少々やってはおりましたが………。」 「じゃ、じゃあ、とりあえず、頼んだぞ。刺激しないよう近づくんだ。」 「ええ〜〜!!、い、いやですよ。格闘技といってもちょっとかじったくらいですし……。あんな奴に素手でかないっこないですよ!」 原田と同様、腰が引けている。 ゆっくりと近づいていた警備員も、間近で見る異様なパンダの風貌に怖気付き、立ち止まったままだ。 「ここは、やっぱり一番ベテランの原田さんが行くべきでしょ!」 「い、いや、年長の俺が何かあったらどうする? やはり、一番若手の今年入ったばかりの………、え〜〜と誰だっけか。 そ、そう、君、君だよ!その若さに期待したい、是非だなあ〜〜。」 警備員たちが、見苦しい押し付け合いをしている。 その間も、パンダは悠然と手すりに座ったままタバコを吹かしている。 と、再び原田が声を張り上げた。 「そ、そうだ!喫煙はちゃんと決められた場所で吸うことになってる。 こんなところは当然、禁煙だ!! 従業員はちゃんと従業員用の喫煙所で吸わなきゃいかん!!」 何故か、原田は拳を掲げ胸を張って自信満々の様子だ。 「は、原田さん! 今、そこですか?! だ、だいたい、あのパンダ、うちの従業員なわけないでしょ!!」 全員が突っ込んだ。
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