3. パンダって、肉食?!

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3. パンダって、肉食?!

「ホント、どうしちゃったのかしら、萌ちゃん。 ずっとベッドに横になるまで、『パンダが! あのパンダがっ!!』 ってうわ言のように言い続けてて……。」 「何か、悪い夢でも見たんじゃないのか? パンダが自分のこと狙ってるんなんて、どう考えてもまともじゃないよ。」 こう言い放ったのは、この店舗で河村 啓介と並んで古株の平尾 修二だ。 「あ、あの〜〜、ちょっといいですか?」 二人の会話が耳に入ったのか、萌の友人の夏川 エリカが二人の顔色を伺うように近づいて来た。 「あら、どうしたの?エリカちゃん。でも、持ち場離れて大丈夫?」 「あ、はい。今から休憩なんで。 それよりも、萌のことなんですけど………。」 エリカは一週間前の出来事を二人に説明した。 「ええ〜〜!パンダが動いたって!? んなバカな! 萌ちゃん、試験とバイトとサークルで疲れてるんじゃないのか? 確か、バイトも掛け持ちしてたはずだったよな?」 平尾があからさまに否定すると、興味本位で真向かいの店のパンダを見に行った。 「と、とりあえず、エリカちゃん、早く休憩行ってらっしゃい。 時間もったいないわよ。」 エリカの後ろ姿を見送りながら黒田マネージャーが振り向くと、 何故だか、平尾が神妙な表情で立っていた。 「どうしたのよ?険しい顔して。まさか、本当にパンダが動いてたとか?」 暫く黙ったままの平尾がボソッと呟いた。 「いや、さっきはああ言ったんだが、一つ気になることがあってね。」
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