4. パンダ、セクハラ疑惑!?

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4. パンダ、セクハラ疑惑!?

夜、10時過ぎのアウトレット。 ほとんどの従業員はもう既に帰っており、一部の店舗だけがまだ明かりがついたままだ。 在庫チェックなどに追われる一部のアパレル店舗だ。 警備員の原田 雄三は各店舗の施錠チェックの為、巡回していた。 このアウトレットに勤めて10年以上のベテランだ。 ガチャッ 「よし、この店もO.K。え〜と、次はと……。」 本部からの無線を受け、最終退館者が報告書を提出した店舗から順次見回っている。 と、その時。 「きゃああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 突然の悲鳴。 原田は一瞬、逡巡した。 と、奥の角を曲がって従業員二人がこっちに向かって走って来る。 女性二人だ。 大慌てで原田が二人に駆け寄った。 「ど、どうしました!? な、何かあったんですか!?」 目の前で崩れるように倒れこんだ従業員を抱き起こしながら、原田が尋ねると。 「あっ、あっちに、パ、パンダが、こ、こんな大っきなパンダが!!」 半分腰を抜かしながら、その女性従業員は奥の真っ暗な空間を指差した。 「へっ? パ、パンダ!? パンダですか? あ、あの動物園にいるパンダ?」 予想外の答えに思わず原田は手を離してしまった。 ゴツッ! 「い、痛っあああい!! も、もう急に、離さないで下さい!!」 「ご、ごめん。だ、だって、何事かと思ったら、パンダがいたなんて言うもんだから。」 と、もう一人の女性従業員が割り込んで来た。 「ほ、本当なんです! と、突然、目の前に大っきなパンダが現れて、立ちはだかったんです!」 「…………?ま、まさか……。」 「し、信じて下さい!! し、しかも、そのパンダ、私たちが逃げようとしたら追っかけて来て、わ、私のお尻、触ったんですうう〜〜〜〜〜〜!!!」 夜のアウトレットに女性従業員の叫び声が響き渡った。
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