僕と彼女の逢瀬

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桜の木の下に着いた二人はベンチに腰掛けて昔話を始めた。話題は尽きなかった。それだけ二人が過ごしてきた時がいかに充実した日々だったかを物語っていた。シュウが手に持った石ころを手で遊びながら独り言をいって笑っているようにみえたアカリは本能的に危険を察知し、木の陰に隠れて様子を伺っていたが、それに気づいたシュウは手遊びを止めて立ち上がって誰もいないベンチの前で突然問いかけた。 「アカリに会いたいか?」 「そりゃもちろん会いたいさ。けど僕は幽霊それがないと話ができないんだろ?」 「その通り。ただこのシュウ様にかかればお茶の子さいさいなんだよ」 シュウは黙って桜の木の陰に隠れてたアカリを引っ張り出してその石を握らせた。気付かれてることには気づいてたのでさほどビックリすることなくその石を受け取り、切れ目の目元に浮かぶ涙を見つめていた。 「アカリ。長い間待たせてごめんな。最後に文句のひとつでも言ってやれ。ただ時間は余り残されてない」 その一言でアカリはそこに誰がいるのかを悟った。今まで誰も居なかったはずのベンチにはリュウが座っているのが見えたアカリは思わず手に持ってた花を落としてふらふらと足元がおぼつかないがらにもしっかりとベンチに足を進めた。 「リュウ、なのよね?本当に本当の?」 また、会えたその喜びからあの時とは違う涙が溢れたが昔のように感情的に流したりはしない。 「あぁ。アカリ。僕だよ。最近入った後輩ちゃんはちゃんと成長した?」 「…うん。したよ。あぁ、リュウ本当なんだね」 リュウは涙に気がついてアカリの頬に手を伸ばそうとするが、触れられない事に気づいて伸ばすのを中途半端にやめた。それをみたアカリはそっとその触れれないはずの手をそっと触れて自分の頬へと、あてる。
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