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「会えたらずっと言おうと思ってたことたくさんあったのに会えたら全部消えちゃった」
「僕もだよ。伝えたいことはたくさんあったのにいま会えたことで満足してる」
触れられないはずなのに、しっかりと左の頬には彼の温もりをアカリは感じていて頭の上からはポンポンと頭を子供をあやすように撫でる彼のいつもの癖に懐かしむように笑った。
「ねぇ、アカリ。お願いがあるんだ。」
そっと視線をあげると真剣な顔をしたリュウの顔があってアカリは心を決めてから、お願いって?と聞き返した。
「もう、僕のところへ来ないで。」
「…うん。分かった」
「僕のことは忘れて、自分の幸せを考えて」
「分かってる」
「アカリはとても素敵な女性だ。まぁ、僕以上にいい男なんか簡単に見つからないと思うけどね」
「ふふ、なによそれ。絶対に、リュウよりいい男見つけて幸せになるんだからね!」
溜めてたはずの涙は耐えきれずにポロポロとながら落ちて小さくしゃくりをしながら溢れる涙を拭うアカリにリュウはもう拭ってやれないんだから自分で泣きやめよ。と冷たく言い放つでも心から愛してるとでもいうかのようにそっと額に唇を落とした。
「ばか。リュウ。…愛してたよ」
「俺も。愛してたぜ。…なぁ、悪いけどシュウとちょっと話したいんだ」
もしわけなさそうに言うリュウにアカリはうなずいて木の幹に座ってるシュウをよんだ。
「リュウが、シュウに話があるってこっちきてくれるちょっとそっちまで歩いていけそうにない」
そういうとベンチに腰掛けた。シュウは立ち上がってアカリの手から石を受け取ると辺りを見渡した。
リュウの姿がすぐに見当たらなかったからだ。
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